七つの魔剣が支配する XI 【あらすじと感想・考察】

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七つの魔剣が支配する

デメトリオとの激闘から一転して春期休暇の長期旅行!

キンバリーの外に広がる世界が見られる、良い下準備の一冊でした!

※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!

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※この記事はPRを含みます

ななつま11巻のストーリー

  1. デメトリオとの死闘を終え、休暇を利用して旅行に出かけた剣花団の面々とテレサ=カルステ、マルコ。
  2. カティ=アールトの実家ではアールト家の過去や亜人種の現状を聞かされ、オリバーはカティの両親にカティが魔に呑まれないよう守って欲しいと頼まれるも、オリバーは自分にはできないと拒否。
  3. 続くミシェラ=マクファーレンの実家ではシェラの母であり、齢380歳のエルフ・ミシャクア=マクファーレンに出会う。
  4. 現地の祭りを楽しむ中、近隣の集落が『小鬼ボギー』に攻められている事を知り、剣花団は現場に赴くことを決める。
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感想

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怒涛の展開だった前巻とは打って変わって閑話休題!

今巻はオリバー達の休暇に合わせて、ストーリーも箸休め&下準備の側面が強い一冊に見えました。

そんなゆったりめの内容だったわけですが、スラスラと読み進められる面白さは健在。

個人的にはこれまでずっとキンバリーが舞台だったので、”外”に広がる魔法社会の雰囲気を感じ取れたの凄く良かったです。

龍と共生する国やキンバリーではあまり見ないゴブリン、ケンタウロスなどの魔法生物。

独特な魔法要素を取り入れた海を渡る川など、外はこんな世界なのか…!と思わせてくれる描写が多く満足度が高かったです!

ハリー・ポッターに対するファンタスティックビーストのような立ち位置の一冊だったかもしれませんね。

こう、舞台が少し変わる事で世界がより鮮明に見える的な。

そういった要素をオリバー達の旅行と上手に合わせながら、今後を匂わせる亜人種絡みの情報を出してきたりと、上手に下準備と箸休めをやってくれた一冊だと思います。

キンバリー側でも教師陣に派閥が生まれていたりと、今後どうなるんだろう?と想像を膨らませるシーンは多かった印象ですね。

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考察

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この世界における亜人種の立ち位置

今巻のメインテーマの1つは、カティが情熱を注ぐ『亜人種』の立ち位置を私たち読者にも明確に伝える事だったと思います。

カティの口から語られる人権派視点の現状、亜人種を尊重していない多くのキンバリー生の口から語られる亜人種。

こういった偏った、魔法使いの視点でしか語られてこなかった亜人種。

しかし今巻では、大人としての視点を持ったカティの両親、人語を話せるゴブリンの長、マクファーレン家との交流があるケンタウロスやドワーフ、そして1巻から登場し、人語を話せる特異種となったオーク・マルコなど様々な視点から亜人種についての情報が明かされました。

例えばゴブリン。

ゴブリンは人語を操れるようになる才能を十分に有しており、人に聴き取れる音域”のみ”を使用すれば人語が話せるようになる種族な模様。

しかしながら、人との諍いが絶えなかった頃の名残、そして今でも人と争う道を選んだ一部のゴブリンにより、魔法使いからのイメージは悪いようですね。

このため、ゴブリンは頭を丸めることで人への忠誠を示すという、旧時代的な事をしてまで魔法社会での立場を守っているようでした。

更には、人に牙を剥くゴブリンは自分たちとは一線を画す存在だという認識を広めるため、そういったゴブリンを『小鬼』と呼ぶ風習をあえて促進している模様。

こうやって見てみると、ゴブリンという種族の立ち位置はあまりにも弱く、魔法社会で生きていくのに必死であることが分かります。

そして人との意思疎通が可能だからと言って、必ずしも人と同等に扱われるわけではないという事も分かりますね。

では、オークの今後を背負うマルコはどうなのでしょうか?

確かにこれまで人語が話せなかったオークが、人語と高い知能を持ってマルコのように振る舞えば、オークも知的な種族として認識される可能性はあります。

しかし一方で、ゴブリンが魔法使いが持つバイアスのかかったイメージに苦しめられているように、オークも同じようなイメージに苦しめられる可能性も十分にあるでしょう。

人権派の魔法使いたちはマルコのようなオークが増えれば受け入れてくれるでしょうが、魔法社会全体がこのまま変わるかと言えば、NOのように見える現状でした。

だからこそ、今巻でマルコが覚悟を決めた道は、かなりの茨の道であると暗示されたように思えますね。

突き進むカティ

マルコの決意も受け取り、より自身の魔導を探求する方へ突き進んだカティ。

今巻ではマルコから決意を受け取っただけでなく、人に危害を加えるゴブリンの集団にも出会いました。

順調に経験を積み、視野を広げ、成長しているように見えますね。

その結果が良い未来なのか、魔に呑まれる未来なのかは分かりませんが…

そんなカティには、未だに払拭しきれない”異端化”の可能性が多いにあります。

魔法生物への愛が強調されて描かれた今巻でしたが、彼女の根幹にあるのは魔法生物への愛というより、より根源的な他者への興味のように思えますからね。

様々なものに触れよう。色々なものを見聞きしよう。自分に不利な現実も見よう。

こういった覚悟が強くなってきているからこそ、9巻の時のようにふっと一線を越える危険性がますます高まってきたように思えます。

実際にこれを感じ取ったのか、カティの両親は心中穏やかではないようでしたしね。

ななつま12巻の発売日

アニメ化も決まり盛り上がりつつある七つの魔剣が支配する XIIの発売日は2023年7月7日です!

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