今巻で僕の中では、綾小路の最終目標は自分を超える存在を作り出すことだという考えが固まりました。
では何故、綾小路の最終目標が自分を超える存在なのか。
一体どこからそれが読み取れるのかを解説していきます!
キーワードは「成長」
一番のキーワードは成長です。
我らが主人公・綾小路清隆は様々な人物の成長をとにかく気にかけています。
これは、クラス内外でそうであり、今巻でもその傾向は顕著に見て取れました。
堀北クラスを全面サポート
まず、これまで綾小路はなんやかんやで元Dクラスの成長を全面的にサポートしてきました。
一番の例はやはり堀北鈴音でしょう。
最初期から交流があり、彼女の独りよがりな部分や兄・堀北学との関係といった弱点の克服を支えてきました。
これにより、堀北鈴音は名実ともに元Dクラスのリーダーと呼べる存在となり、元Dクラスは堀北のクラスと称されるようになりました。
他にも、佐倉愛里、平田洋介、須藤健、幸村啓誠といった面々の成長に一役買っています。
そして、最たる例が皆さんご存じ軽井沢恵です。
感想記事でも述べた恋愛カリキュラムを通じて、軽井沢の成長とトラウマの克服を促しています。
メリットのない利敵行為
堀北クラスを全面サポートしていた理由は、綾小路の当初の目的である平穏な学生生活のためとも考えられます。
しかし、綾小路はこれに相反する行動をしています。
それが、他クラスの成長をも促している点です。
例えば、綾小路はこれまで一之瀬帆波と元Bクラスの弱点を分析し、手助けすることがありました。
他にも、龍園翔を潰した張本人であるにも関わらず、龍園の復帰にも一役買っています。元Cクラスは名実ともに龍園のクラスですから、綾小路の平穏のためには龍園は退学・隠居してもらっておくのが都合が良いはずです。
こういった、他クラスの生徒を成長させたり、他クラスを手助けする行動は基本的に全くメリットがありません。
むしろ、利敵行為と呼べるほど自クラスにとって不利益な行動です。
このことから、綾小路は平穏な学生生活のために、自クラスだけの成長を望んでいるわけではないことが分かります。
4.5巻では
そして、今巻ではこの傾向が非常に顕著に表れていました。
例えば、龍園クラスに移籍した葛城康平。
同クラスの新キャラ・時任裕也と揉めている場面で、椎名ひよりに乞われたという背景はありますが、葛城にアドバイスを送ります。
他にも、一之瀬クラスの新キャラ・姫野ユキ。
綾小路は一之瀬クラスの女子会に招かれたのもあり、彼女のクラスの弱点は一之瀬を妄信している点だと分析します。
そして、これを改善するためには一之瀬に物申せる人物が必要だと考え、姫野に目をつけます。
自クラスでは、池寛治と佐藤麻耶が勉強を頑張れるように誘導しています。
最後に、綾小路グループでプールで遊んだ時には、佐倉愛里と長谷部波瑠加が変わろうとしている姿にも注目しています。
綾小路の存在価値と卒業後
綾小路にとっては、Aクラスで卒業してもDクラスで卒業しても同じことです。
何故なら、高度育成高等学校から出てしまえば、即ホワイトルームに連れ戻されてしまうからです。
これは本人も自覚していることです。
そもそも高度育成高等学校に入学したのも、綾小路パパの魔の手から逃れられるのがここだけだったからです。
綾小路はホワイトルームの最高傑作であり、貴重な実験の成功例です。
綾小路パパにとってはナンバーワンであり、オンリーワンなサンプルです。
その存在の重要さは、綾小路のためだけにホワイトルームから刺客(月城、天沢、八神)が送り込まれていることからもよく分かります。
そして、綾小路パパはかなりの権力がある事が描写されていますから、卒業後の未来は今のところ確定してしまっているんですよね。
だからこそ他の学生と違い、綾小路にとってのゴールはAクラスで卒業することではないのです。
綾小路と茶柱の会話から読み取れる真意
そんな中、衝撃だったのは綾小路が担任・茶柱佐枝に放った一言です。
もし、本気でAクラスを目指すなら、オレはこの先出し惜しみするつもりはない
ようこそ実力主義の教室へ 2年生編 4.5
これまで自身の実力をひた隠しにしてきた綾小路の口から出た言葉とは思えない一言ですよね。
前述の通り、綾小路にはAクラスで卒業するメリットはありません。
一方で、実力が公になって各クラス・学年からターゲットにされるデメリットは非常に大きいです。
にも関わらず、この様な発言をしたことで綾小路の真意が見えてきました。
綾小路は茶柱に、クラスが1つになることがAクラスに上がるための最低条件だと述べ、その中には担任である茶柱も含まれると言いました。
そして、綾小路の中で、茶柱の担任としての評価は低いことが明かされています。
しかし、茶柱を変えようとしている節があります。
出し惜しみしない発言も、茶柱を変えようとしたからなのでしょう。
このことから、綾小路は茶柱にも成長を促していることが分かります。
今の綾小路にとっては、目立たない平穏な学生生活よりも、他者の成長を促す方が重要であることがこの発言からも読み取れますね。
綾小路が最も欲しているであろうモノ
ではなぜ、綾小路は他者の成長を促しているのか?
それを考えるにはまず、綾小路が今最も欲しているであるモノが何かを考える必要があります。
これはやはり、自由でしょう。
綾小路パパの魔の手から逃れると言ってもいいかもしれません。
今はそのためにホワイトルームからの刺客と心理戦を繰り広げているわけですしね。
人間は、一度味わったもの、手に入れたものを手放すのはそう簡単ではありません。
綾小路は今現在、学校の中に限られますが、自由を手に入れており、それを謳歌しています。
そんな綾小路が卒業後も自由を手放したくないと考えるのは、とても自然なことだと思います。
僕が同じ立場だったら、間違いなくそう望むでしょう。
よって、綾小路が今最も欲しているモノは自由であり、そのために行動していると考えています。
自由を得るための答え
そして、綾小路が自由を手に入れる方法が、他者を成長させることなのです。
より正確には、他者Xに自分を超えさせることですね。
綾小路が「最強」である限り、ホワイトルーム計画の有用性と、綾小路パパにとっての綾小路の存在価値が変わることはありません。
ではどうすれば綾小路パパの執着がなくなるのか?
それは、ホワイトルーム計画の失敗と綾小路の存在価値の否定です。
ホワイトルームの最高傑作である綾小路が、Xに敗北し、高度育成高等学校内での「最強」ではなくなったら、ホワイトルーム計画の価値はどうなるでしょうか?
そう、ホワイトルーム計画は失敗となり、その価値は失われます。
人材育成計画として、高度育成高等学校>ホワイトルームという関係性が確定しますからね。
そうすれば綾小路パパの理想は崩れ、彼が綾小路にこだわる理由もなくなるのです。
だからこそ、綾小路は他クラスでも構わず手助けをし、多くの人間の成長を促しているのでしょう。
綾小路にとっては残された1年半で最良の教育法を模索し、自身を超える存在Xを育て上げることが、最優先目標なのです。
そのためには、自クラスがAクラスに肉薄し、他クラスがそれに追随して競い合ってお互いを極限まで高める必要があるからこそ、4.5巻での数々の行動があったのでしょう。
綾小路さんの黒幕ラスボス感やべえ
まとめ
長くなったので、改めてまとめていきましょう。
まずは、現時点で判明している綾小路に関する事実です。
- 卒業後の未来がホワイトルーム連行でほぼ確定している
- 他者の成長や変化に関心を持っている
- 自クラスだけでなく、他クラスの学生の成長も手助けしている
- 目立たない事が最優先ではなくなっている
このことから次の事が推察されます。
- 綾小路は卒業後の自由を欲している
- 綾小路の敗北はホワイトルーム計画の失敗を意味する
- ホワイトルーム計画が失敗すれば、綾小路は自由の身になる
よって、綾小路の最終目標は自信を超える存在Xを育て上げることだと考えられます。
果たして綾小路はこの予想通りに動いてくれるのか。
それとも僕たち読者の更に上を行くのか。
どちらにせよ、この部分に注目してよう実を追いかけていくのも一つの楽しみになりそうです!
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