段々ドロドロして闇が深くなってきたぞ!
オイオイオイ!と言いながらも今後の展開が気になって仕方ない一冊でした!
※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!
ななつま13巻のストーリー
- ディーノ=ロンバルディの一件で呪いを取り込み、呪術使いとなったガイ=グリーンウッドは呪いの管理のため一時的に剣花団から距離を置くことになる。
- 上級生となり研究室選びが始まり、オリバー=ホーンたちは各々が新たな人間関係を構築し始める。
- カティ関連でひと悶着あったものの、オリバーとミシェーラ=マクファーレンは互いの過去を共有し和解する。
- ガイは呪術の管理を会得し、定期的に慰霊を受けることで月の半分はこれまで通り過ごせるようになる。
- 迷宮管理者として着任したケビン=ウォーカーと迷宮六層まで向かう道中、ロッド=ファーカーと接触したオリバーは心が揺らぎ…
感想
メインパートの感想は後ほど書くとして、結構ヘヴィな内容だったからこそいいアクセントになっていたコメディが個人的には結構良かった一冊。
ガイと距離を置くことになって落ち込むオリバーたちに、彼なりの接し方をしたロッシがボコボコにされるところとかはかなりニヤつきました。
「たとえあなたが百人いたところで。ガイの足の小指の代わりにさえならないと伝えたかっただけですわ」
「並んで笑顔でエグいこと言うのやめてくれへん?うっかり目覚めそうになるわ何か」
七つの魔剣が支配する XIII
剣花団の6人がメインで話が進む本作ですが、なんやかんやで同学年の面々のキャラが立っていて少しの登場でも印象が残るのは素晴らしいところですよね。
特にロッシ、アンドリューズ、オルブライトの三人は本当にいい味が出ているキャラ達だと思います。
段々ドロドロしてきた剣花団
なんかドロドロしてきたなあ…
今回はもうドロドロという一言がピッタリでしょう。
各々のバックグラウンドも絡んだ情念と執着が入り混じったドロドロさで、それこそ先日放送されていたアニメの、1年生時代からは様変わりしてしまった雰囲気でした。
カティはガイが不在となり自制が効かず、オリバーと関係を持ってしまいました。
そしてそれを後押ししたシェラに、全てを察してシェラと一時はギスギスしていたオリバー。
ガイと交友関係を深めていったバルデ姉弟に対し、激しい怒りを見せたピート。
その後ピートはガイにもオリバーにしたように迫っていましたし、あーもう滅茶苦茶だよといった感じ。
ピートやシェラは剣花団の関係がより深く、強固になるように複雑に絡み合った関係を求めているので、その目標にドンドン近づいて行ってると言えるでしょう。
この2人と自制が効かないカティが、どんどんドロドロしていく関係の主要因ですしね。
ピートの言う通り1人に対して複数の強い関係性があることで剣花団の関係がより強くなるのは事実ですが、得てしてそういった人間関係は破綻の原因にもなるので今後の彼らがどうなるのかは心配事の方が多い気がします。
前巻でピートが一線を越えたあたりから大丈夫かコイツら?とは思いましたが、今回でその懸念が益々深まりましたね。
こういった闇の深さみたいなのもななつまの魅力なので、それがたっぷり主人公たちに降りかかってくる展開は望むところと言えるでしょう。
今後もこの危うさを楽しんでいきたいですね。
壮絶すぎるシェラの生い立ち
ななつまで生い立ちが壮絶と言えば、やっぱりオリバー。
10巻で明かされたオリバーの過去は想像以上で、大量の読者が闇の深さに驚かされたかと思います。
そして今回は、シェラの生い立ちがオリバーの過去に近いことが明かされました。
オリバーはクロエ=ハルフォードと魂が融合したために種馬として扱われましたが、シェラもまた近い未来が待ち受ける人物。
魔法界でも希少なハーフエルフであり、エルフの血を魔法界に定着させるための孕み袋としてマクファーレン家で扱われていることが判明しました。
幸いオリバーとは逆に”まだ”悲壮な体験こそしていないものの、その未来は予約済み。
エルフの血を人の世に定着させる
その一事の大きさに比べれば取るに足らない。
七つの魔剣が支配するXIII
幼いシェラに対してこんな言葉を投げかけるような人物が権力を持つ家中で育ったわけですから、彼女もなかなかに壮絶な過去を持っていると言えるでしょう。
こういった過去を明かされると、シェラの強すぎる剣花団への想いも納得感が出てきます。
魔法界との縁が無かったからこそ剣花団に強い執着を見せるピートとは違ったベクトルで、家庭の事情が剣花団の執着に繋がっているように思えますね。
ひたすらエルフの血を分け与える未来が確定しているからこそ、自由が許されるキンバリー内でくらいは一個人としての関係が欲しかったのでしょう。
このバックグラウンドを知ってしまうと、他の面々同様シェラもなかなかに危ないバランスの上に成り立っているな…と感じてしまいますね。
各々の闇が明かされたので、今後の剣花団がどうなっていくのか目が離せません。
考察
3つの顔を持つロッド=ファーカー
4年生となったオリバーの前に表れたキンバリーの新たな教授・大賢者ロッド=ファーカー。
彼が異端狩りがねじ込んだ教員で、キンバリーとは異なる思想を持っている事は分かっていました。
しかし今回は、そんな彼の様々な顔が明かされる一冊でもありました。
- 異端狩りから送り込まれた刺客
- 人権派
- 異端?
1つ目は登場時から明かされているシンプルな、表向きの顔。
キンバリー校長・エスメラルダを失脚させたい異端狩りから送り込まれた、彼女を失脚させるための駒ですね。
今回もエスメラルダに対して真っ向から反論し、キンバリー批判をしたことによって片腕を切り落とされていました。
そして2つ目が、オリバーに明かした裏の顔その1。
オリバーの感覚が間違いなければ、ファーカーはオリバーの母・クロエ=ハルフォードに感化された人権派の魔法使いのようです。
人権派としてすべての”人種”、魔法使いだけでなく普通人や亜人種の平等を求める平和主義者。
数多くの人権派同様、世界を変えることを目標とした人物です。
オリバーはこれを受け、自分と同じ思想なんじゃないのか?むしろ自分よりよっぽど相応しいのではないか?と揺らぎに揺らいでいました。
最後の3つ目は、僕たち読者のみに明かされた裏の顔その2。
全なる聖光に祝福されし《三角形》の大導師。
クーニグンデという、異端と思われる人物を内蔵に鞍替えさせ、キンバリーへの潜入を手引きしている様子が描かれました。
彼の行動とクーニグンデの発言を見る限り、ファーカーは異界の神を信奉する異端だと見て良さそうに思えます。
表向きは異端狩りの刺客ながら、裏側は人権派と異端という異端狩りと対極に位置する2つの顔を持つ男。
彼の今後の行動は全く読めませんし、異端なのであればオリバーとも共存はできない存在でしょう。
まずは彼が人権派なのか、異端なのか。それとも2つを両立させた人物なのか。
ロッド=ファーカーというジョーカーから今後も目が離せません!
ななつま14巻の発売日
どう転ぶか分からないファーカーの行動が気になりすぎる七つの魔剣が支配する XIVの発売日は未定です!
刊行ペース的には2024年3・4月発売が期待できそうですね。
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