スパイ教室 短編集 5 『焔』より愛をこめて【あらすじと感想・考察】

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スパイ教室のファンのあなた。短編集はスルーしているあなた。スパイ教室のアニメを観たあなた。全人類のあなた。

この一冊だけは買おう。

※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!

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※この記事はPRを含みます

スパイ教室短編集5巻のストーリー

  1. 『焔』に拾われ、ギードを師としてスパイの道を歩み始めたクラウスの物語。
  2. ゲルデを次の指導係とし、『不死』の技術を身に着けるクラウスの物語。
  3. ルーカスとヴィレを次の指導係とし、スパイとしての社交術を身に着けるクラウスの物語。
  4. ハイジと共に龍沖を訪れ、心に炎を灯すクラウスの物語。
  5. フェロニカの言葉に動かされ、『焔』唯一の生存者となるクラウスの物語。
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感想

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極上だ。神。センキューゴッド。

ファンにはたまらない一冊でした。

これまでスパイ教室の短編集は読みつつもブログ記事にしてこなかったぶんちりーですが、これは書かざるを得ない。

というかもうこれ本編。

スパイ教室/Zeroとかスパイ教室-追憶編-とかスパイ教室Prologueとかそういう感じのあれ。

クラウスが『焔』に拾われ、家族となり、『焔』を喪って『灯』を立ち上げるまでが丁寧に描かれた一冊でした。

ここまで続いてきた本シリーズを追いかけてきた身としては、クラウスの事もすっかり大好きになっていたので滅茶苦茶刺さりましたね。

本編では1巻の時点でメンバーが死去しており、クラウスが持っていた深い家族愛を客観的情報としてしか知らなかった僕たち読者にとってはまさに強烈なパンチ。

この一冊を経て復讐を誓ったクラウスの怒りや哀しみ、『灯』の面々に向ける深い愛情などに対する解像度が一気に上がった素晴らしい一冊だったと思います。

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焔の偉大さ

この一冊を読んで良かったと感じる理由の1つに、『焔』の偉大さを堪能できるからというのがあります。

これまでは断片的な情報として入ってきていた『焔』メンバーの凄まじさが、僕たち読者にとって疑う余地のない世界最強のスパイ・クラウスの視点から描かれていますからね。

純粋な戦闘スキルでクラウスの上を行き続けたギード。

それでいて破天荒な仲間たちの尻拭いをさせられる、苦労人&常識人なのが味があっていいですね(笑)

そりゃあ最後までクラウスが慕うのも納得だし、亡骸を丁重に扱うわけだ。

次にイカレた生存能力とパワハラ豪胆な性格から繰り出されるスパルタ訓練お婆さん・ゲルデ。

それでいながら年長者らしく、クラウスにスパイとしての芯を作らせたのがまたイイ…

ちょうどライラット王国編で名前が登場するルーカスとヴィレはいい兄貴分。

明るい雰囲気とは裏腹に先の先まで読み切る頭脳と、コールドリーディングからなる情報収集能力。

クラウスの柔らかい物腰と、口癖「極上だ」と決めゼリフである「このお遊びにはいつまで付き合えばいい?」のオリジナルなのもまたイイ…

ぶんちりー
ぶんちりー

マジで全部関係性がイイ

モニカにトラウマを植え付けたことでお馴染みのハイジも、特異な能力と不憫な体質を持ちながらも、母と慕うボス・フェロニカのために尽くす熱い女。

当時のモニカに失格の烙印を押したのが納得できるような、内に秘めた熱さを感じられました。

夜のベッドでの一件はグレーテが嫉妬と羨望で倒れるのでは…

なんやかんやあった

スパイ教室 短編集05 『焔』より愛をこめて

最後にフェロニカ。

この人だけは底が見えない。

この一冊を読んでいると、まるで『焔』の壊滅と『灯』の結成を予知していたかのよう。

そんな行動が随所に見られ、彼女はまだまだ本編に関わってくるのだろうなと凄みを感じました。

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巡るバタフライエフェクト

些細な出来事が後に大きな出来事に繋がる事をバタフライエフェクトと言いますが、クラウスの行動はまさにそれ。

クラウスが関わった様々な事件が、後の『灯』に繋がっていくのもエモくて良かったですね。

ジビアの父と闘い、結果的に彼女を解放することになったり。

とある政治家を改心させ、結果的にグレーテをスパイの道に導くことになったり。

マティルダの計画を潰しストレスを与える事で、結果的にアネットを鉄道事故に合わせたり。(文字にすると救っているように見えなくてワロタ)

最初は単なる落ちこぼれという情報しかありませんでしたが、灯メンバーのほとんどが焔に縁があるのは運命的でいいですね。

ここら辺のファンサービスもバッチリで読んでいて飽きませんでした。

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考察

フェロニカに見えていたもの

『焔』のボスであり、世界的に見ても屈指のスパイ・『紅炉』フェロニカ。

彼女が暁闇計画側についたことでギードは『蛇』に寝返り、『焔』は壊滅しました。

そんな決定的な決断をしたフェロニカですが、彼女の行動には『焔』の壊滅を予期していたようなところが見られました。

一番印象的なのは、フェロニカがクラウスにかけたこの言葉。

『焔』を愛するのは、止めなさい

スパイ教室 短編集05 『焔』より愛をこめて

この前にも、クラウスは『表の物語』しかしらないと諭していましたしね。

『焔』を家族として愛し、ある種の依存状態になっていたクラウスを『焔』の壊滅から奮い立たせるような一言。

結果的に、クラウスはこの言葉のおかげでギードの予想を上回り、『焔』唯一の生き残りとなります。

まるで『焔』が壊滅していることを予期しているような、『焔』壊滅後のクラウスを救うような一言は未来が見えているかのよう。

暁闇計画が後ろ暗いからこその発言とも取れますが、クラウスを暁闇計画側につけるなら逆効果過ぎる発言。

計画が後ろ暗いものであろうと、フェロニカは計画を支持していたわけですしね。

彼女が自身の死期を予期していたからだとしても、やはり不自然な発言。

フェロニカの死=『焔』の壊滅ではありませんからね。

しかしここで生まれる疑問が1つあります。

『焔』の壊滅を予期していたのなら、何故対策を講じなかったのか?

まるでクラウス”だけ”を生き残らせるために行動したかのように見えますね。

まるで『焔』が壊滅し、『灯』が誕生するのを予期していたような。それを望んでいるような。

そんな意図があった行動だとしたら、辻褄は合います。

クラウスに向けた謎の発言は、『灯』誕生までの布石だったのかもしれませんね。

だとしたら、本編での展開はフェロニカの狙い通りで、亡くなった彼女の思惑通りに事が運んでいるのかもしれません。

ムザイア合衆国での最期も、後に『灯』の一員となるティアのために布石を残して死んでいきましたしね。

フェロニカは今後本編で、存在感が増してきそうな気がしてきました。

スパイ教室12巻の発売日

続きが気になりすぎている本編・スパイ教室12巻の発売日は未定です!

安定した刊行ペースとなっているので、2024年5・6月発売が予想されます。

コメント

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