まさかのデート・ア・ライブ×ミステリーのスピンオフ!
しかも作者は原作者の橘公司先生!
※トリック関連の【ネタバレ】なしです
あらすじ
- 彩戸大学一年生になった時崎狂三は同級生・栖空辺茉莉花に依頼され、魔術工芸品犯罪が関連した『魔弾』事件を解決に導く。
- 『魔弾』の一件をきっかけに、狂三は魔術工芸品探偵となる。
- 狂三は『生きた人形』や『若返りの料理』、『謎の自殺未遂』、『魔術工芸品の競売』などの事件に関わり、一連の騒動の核心に迫っていく。
ミステリー?
『探偵』や『事件簿』というワードから、ミステリーなのか?と思う方は多いでしょう。
僕の印象としては、特殊設定ミステリーといったジャンルかなというところ。
いわゆる特殊設定ミステリーの中でも、読者に対してフェアな本格寄りではなく、ファンタジー要素という変化球を楽しむタイプですね。
特殊設定ミステリーの代表格である剣崎比留子シリーズと比べるともっとライトで、ファンタジー寄り。
自分もじっくり考えて謎解きを楽しみたい方や、読者への挑戦状が大好き!というった層より、探偵の鮮やかな活躍やキャラクター性が好きな層をターゲティングしたミステリーだと思いました。
長編?短編集?
ミステリーは1つの事件を1冊かけて扱う長編形式と、複数の事件(エピソード)が1冊にまとめられている短編集形式があります。
本作は後者の短編集形式をとっており、探偵役・時崎狂三が手掛けた複数の事件がつづられています。
デート・ア・ライブを読んだ方がいい?
デート・ア・ライブを知らない人からすると、タイトルにデアラというワードがないため純粋な新作ライトノベルと思うかもしれません。
しかしながら本作はデート・ア・ライブという完結済み作品のスピンオフで、主人公・時崎狂三はデアラのヒロインの1人。
そして世界観も完全に共有しているので、本作のファンタジー要素である『魔術』もデアラの設定を引き継いだものになっています。
もちろん人間関係なんかも引き継いでいますね。
そんなわけでデアラを読んだ方がいいか?と聞かれるとYESともNOとも言えない微妙なライン。
ファンタジーミステリーとして、不可能犯罪を引き起こす魔術という要素や探偵による鮮やかな解決編さえ楽しめればOK!という方なら、デアラを知らなくても楽しめるでしょう。
一方で、デアラ本編から登場しているキャラクター達の特徴や人間関係、魔術関連の設定などを把握して読み進めたいタイプなら、デアラのアニメだけでも観た方が良いでしょう。
リアライザって何?ウィザードとメイガスの違い?精霊???
さも当たり前のように名前が出てきた鳶一折紙とは?カレン・メイザースとは?
この世界の魔術ってのはどこまでできるものなんだい?
こういった節々の細かい点が気になってモヤモヤしちゃうタイプなら、デアラ本編の情報も仕入れた方が良いでしょう。
感想
デアラファンはたまらないよね
まずはやっぱりデアラファンとしての喜び。
僕はコチラの記事で紹介したように、デート・ア・ライブは長年追い続けていたファンですし、その中でも時崎狂三は一番好きなヒロイン。
そんな狂三がメインを張るスピンオフであり、これまた僕の大好きなミステリーということで好きなキャラ×好きなジャンルというたまらないコンボ。
完結している作品なのもあって、狂三の活躍が新しい形で見れるのがとても嬉しかったですね。
話し方や立ち振る舞いも狂三っぽく、とてもニヤニヤしながら読めたのでデアラファンなら外さない作品なんじゃないかなと思います!
デート・ア・バレットといい、狂三のスピンオフが多くて嬉しいね
解決編が結構気持ちいい
本作の魅力の1つは、解決編の爽快感かなと思います。
僕たちの理屈で考えても分からない魔術による不可能犯罪を、狂三の発想力で解いていく解決編はなかなかにカタルシスがあります。
しかも狂三は種明かしの仕方や犯人の追い詰め方がネットリしていて、犯人に対する格の違いみたいなものを醸し出しながら解決してくれます。
シャーロック・ホームズやファイロ・ヴァンス、御手洗潔のようなザ・名探偵の解決編が好きな方には、結構好みが合うんじゃないかなと思いました。
1つ目の『魔弾』事件なんかは、解決編が狂三のネットリボイスで脳内再生されて大量の何かが脳内で分泌されました。
「でェ、もォ」
狂三はニィッと唇を歪めると、足を一歩前に踏み出し
魔術探偵・時崎狂三の事件簿
あまりにも狂三の声で脳内再生されたよね。最高。
定番どころを抑えている
複数の短編からなる本作ですが、それぞれの事件がしっかりミステリー・サスペンスの定番どころを抑えているのも良かったと思います。
密室が絡んだ不可能犯罪やクローズドサークル、潜入捜査などなど。
魔術工芸品というイロモノが入ることでカジュアルな読みやすさを出しつつも、大枠ではミステリーらしい展開が用意されていてライトノベル×推理小説を上手に組み上げていると思いました。
推理小説を読み慣れていない人には、ミステリーならではの緊迫感やカタルシスを感じさせる作風。
推理小説を読み慣れている人には、こういう絡繰りかな?と推理させてページをめくる意欲を掻き立てる作風。
どちらのタイプにとっても、気持ち良く読める作品になっていたと思います。
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