またしてもAmazon Originalのフットボールドキュメンタリー!
欧州サッカーファンとしては見逃せないお宝映像の宝庫ですし、サッカーファンだけでなく、誰が見ても心に刺さる素晴らしいスポーツドキュメンタリーでした!
作品概要
『FC Bayern: Behind The Legend』
日本語タイトルは『FCバイエルン・ミュンヘン~栄光の舞台裏~』
多くのサッカーファンから支持を集めているオール・オア・ナッシングシリーズを作成してるAmazonの新ドキュメンタリーです。
- チーム:バイエルン・ミュンヘン
- 配信プラットフォーム:Amazon Prime Video
- 配信形態:Amazon Prime会員特典・全話一挙公開
- 音声:ドイツ語、日本語、英語などなど
- 字幕:ドイツ語、日本語、英語などなど
20/21シーズンのバイエルン・ミュンヘンに密着しつつクラブの歴史を振り返るドキュメンタリーで、記憶に新しいフリック監督の退任やナーゲルスマン監督の就任の裏側なども見ることができます。
Amazon制作ということもあり、視聴できるのはPrime会員が利用するAmazon Prime Videoのみ。
とはいえアマプラ会員は送料無料を始めとした特典が多いですし、僕は学生なのもあってPrime Studentで格安ですから気になりはしないですね。
感想
※ここから先は若干のネタバレを含みます!
バイエルン・ミュンヘンの歴史と現在の2軸
この作品の軸は2つあって、一つはクラブの歴史、もう一つが今のチームです。
前者は上層部にいるカーンやルンメニゲ、他にもOBのベッケンバウアーや記憶に新しいところだとリベリーやシュヴァインシュタイガーなど、様々なOBたちの口からバイエルン・ミュンヘンというクラブが語られ、歴史が振り返られます。
僕のイメージだと、ヒストリーチャンネルのドキュメンタリーを見ているような、そんな感覚を持つ時間帯もある作品でしたね。
基本的にプレミアリーグとCLしか見ない僕としては、バイエルンの歴史や伝統を知ることができたのは非常に面白いと感じましたし、今後CLで見るバイエルンの印象も変わるなと感じました。
そしてもう1つは20/21シーズンのチーム。
現在も在籍しているレヴァンドフスキやミュラー、キミッヒといったトップ選手に加え、今はドイツ代表監督となったフリック監督など今でも輝きを放っている人たちの素顔が見れるのはやはり嬉しいものです。
ブンデスリーガのゴール記録がかかっていたレヴァンドフスキの背負う重圧も、彼の表情は後ろ姿から痛いほど伝わってきましたね。
サッカーファンとしては、ライバルクラブであろうとトップクラブの、シーズン中のクラブハウス内が見れるなんて、これ以上ないくらいありがたいドキュメンタリー。
この点に関しては、シリーズは違いますが、マンチェスター・ユナイテッドサポーターの僕がマンチェスター・シティのドキュメンタリーですら楽しめたので保証します。
オール・オア・ナッシングとの違い
同じアマゾンオリジナルのスポーツドキュメンタリーに『オール・オア・ナッシング』というシリーズがあります。
先日紹介したユヴェントス編を始め、過去にはトッテナムやマンチェスター・シティといった強豪クラブの1シーズンに密着した作品ですね。
ではつい先日に公開された『オール・オア・ナッシング ~ユヴェントスの変革~』と本作品の違いは何なのか?
これは密着しているクラブがバイエルン・ミュンヘンという違いだけではなく、メインになっているものの違いが大きいです。
オール・オア・ナッシングはとにかくその1シーズン、例えばユヴェントス編なら20/21シーズンのユヴェントス、その当時のチームにガッツリ注目しているわけです。
一方で本作は、20/21シーズンのバイエルンが描かれつつも、メインになっているのはバイエルン・ミュンヘンというクラブ。
クラブ上層部にカーンやルンメニゲといった、当時を知らない僕でも知っているようなレジェンドが在籍しているのもあり、彼らのインタビューと共にクラブの歴史を振り返るシーンが目立ちました。
そのシーズンのチームに注目するかクラブの歴史に注目するか。
ここが一番の決定的な違いだと思いますね。
バイエルンのメンタリティが垣間見えたシーン
例えば、マンチェスター・ユナイテッドのファンである僕が話としては知っている、カンプ・ノウの奇跡。
バイエルン視点ではカンプ・ノウの悲劇と呼ばれる、チャンピョンズリーグ決勝で、1-0でリードしていたバイエルンがロスタイムの2分間に2失点して逆転負けを喫したこの試合。
この試合があるからこそバイエルンには最後まで諦めないメンタリティがあり、徹底した試合運びをする心の強さが根付いているのだと。
自分たちはこの敗北から学んだと述べている当時のGKだったカーンがクラブ上層部にいると思えば、バイエルンの甘えない試合運びにも納得ですね。
直近だと19/20シーズンのCL準々決勝でバルセロナを2-8で下したあの試合。
どんなに点差がついても一切気を抜かないバイエルンのプレーはここに起因しているのかなと思えて、また一つこのクラブに対する見方が変わりました。
選手たちの素顔
サッカーファンなら誰も知っているレヴァンドフスキやミュラーの素顔が見れたのももちろんですが、個人的にはあまり人柄を知らなかった新星アルフォンソ・デイビスやジャマル・ムシアラの素顔なども見れたのがとてもグッド。
他にもキミッヒが思っていた以上にアツくて感情的な選手であることも知れましたし、様々なクラブに在籍してきたシュポ=モティングがベテランとして重宝される理由も感じることができました。
普段プレミアやリーガなどを見ている人からすると、バイエルンで頭角を現した選手はイマイチ人柄などが掴めないところもあるので、今後のCLを楽しむためにも見ておくのは非常に良いと思います。
今シーズンからユリアン・ナーゲルスマン監督が就任して、フリック体制とは少しカラーが変わりつつも圧倒的な実力を感じさせるバイエルン。
フットボールに絶対はないですが、実力だけで言えばCL優勝候補の一角である事は間違いなのでCL決勝トーナメントが始まるこれからはますます目が離せないですもんね。
個人的に刺さったハンジ・フリック
個人的に刺さったのは、ハンジ・フリック監督の描写。
前任のニコ・コヴァチ監督が解任され、シーズン中にスクランブル就任となったハンジ・フリック監督。
彼はそこからチームを建て直し、ブンデスリーガ・DFBポカール・UEFAチャンピョンズリーグの三冠を成し遂げた名将中の名将。
しかしOBたちが述べていたように、全てを勝ち取った人ならではの苦悩があったのでしょう。
それに彼の寡黙というか、メディア・会見嫌いといった側面も相まってドイツ代表監督のポストについて聞かれ続けた昨シーズンの状況は、フリック監督にとって相当ストレスだったんでしょうね。
もしかしたら、FIFA最優秀監督賞を受賞できなかったのも彼の中では一つのモヤモヤになったのかもしれない。
色々と考えさせられましたね。
当時から三冠を達成した監督が最優秀じゃないなんてあり得ないと騒がれ、受賞したクロップ監督も気まずそうでした。
誰もが受賞確実と思っていたからこそ、フリック監督の落胆ぶりは映像からも見て取れましたし、あそこがターニングポイントだったのかもしれないと個人的には思わされました。
もちろん実際には、ドイツ代表監督のポストが三冠達成後のタイミングで空いたというのが一番でしょうが。
オススメ度
オススメ度は10点満点中9.5点。
サッカーファンには基本的に強くオススメできますが、クラブの『今』のみに関心がある人からすれば、歴史を振り返るのは少しうーんとなってしまうかもしれません。
ただそういった方以外なら、僕のように若い人は知らないことを、年配の方は懐かしいことを振り返ることができて、 間違いなく10点満点の満足度が得られるでしょう。
オール・オア・ナッシングのレビューでも述べましたが、今後フットボール界を担っていくような逸材、今まさにフットボール界を代表する選手、そしてフットボール界を牽引してきたレジェンドの素顔や名門クラブの内側が見れるお宝映像の宝庫です。
ただそれでなくとも心に刺さる名言やシーンは沢山あるので、サッカーファンでなくともスポーツドキュメンタリーとして楽しめる名作に仕上がっていると言えるでしょう。
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