神々との戦いを終えて新章始動!
魔王学院らしさがたっぷりと詰まった、原点回帰のような素晴らしい一冊でした!
※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!
魔王学院11巻のストーリー
- 前巻で世界を作り変えたアノス・ヴォルディゴートたちは、それでも原因不明だった消えた火露の行方から『世界の外』が存在する可能性を考え始める。そんな中、『外』からの刺客によってアノスママ・イザベラが狙われ、霊神人剣エヴァンスマナが奪われそうになったことで可能性が確信へと変わる。
- 外の世界である銀水聖海に繰り出したアノスは、聖剣世界ハイフォリアのバルツァロンド・フレネロスや二律僣主の執事ロンクルス・ゼイバットと交戦。ロンクルスに勝利し彼と《融合転生》を行う。
- 魔王学院はミリティア世界の機関として、銀水聖海の機関であるパブロヘダラの学院同盟に加入。
- 二千年前の家臣ファリス・ノインの転生先・銀城世界バランディアスと《銀水序列戦》を行った魔王学院は、見事勝利しファリス取り戻す。
感想
魔王学院らしい一冊!
僕的にはこれの一言がしっくりくる、大満足の一冊でしたね。
ともに球遊びに興じた仲だろう
魔王学院の不適合者 11巻
こういったアノス様がカッコよすぎて昇天しそうなシーンも完備されていて穴がない。
ストーリーとしては、神々との戦いを終えて、『ミリティア世界』ではもうやる事をやりつくした感のあったアノスたち。
そんな本作品でしたが、銀水聖海という外の世界が登場したことで一気に風呂敷が広がりましたね!
火露のくだりはそのためにあったんだなあと今更になって気づかされました(笑)
魔族と戦い、人間と戦い、地底人と戦い、神族と戦ったアノスたち。
次は神とその世界の民が一体となってきて、他の世界と戦うことになるようですね。
今後の展開も示されて、新章に胸躍る良いスタートアップの一冊でした。
銀水聖海と銀水序列戦、考察で述べる謎など楽しみな要素が盛りだくさんですね!
あとアノスママ・パパの反応はどんな状況でも親バカ街道一直線で大好きです。
魔王学院らしさ
今巻は物凄く魔王学院らしさが詰まった一冊だと思います。
これまでより”外”の世界に出向き、そこの学院で舐められ、アノス様と配下が上下関係を分からせる。
この一連の流れなんかは魔王学院に入りたてだった1巻や勇者学院に出向いた3巻を彷彿とさせます。
そして、やむにやまれぬ理由でアノスと敵対せざるを得ない二千年前の配下と、それを救ってあげるアノス。
この流れは苦悩するシン・レグリアを描いた4巻を彷彿とさせますよね。
こういったこれまでの流れを踏襲しつつ、外の世界という新しい要素をミックスさせた満足感たっぷりの内容でした!
二千年前の配下たち
僕は個人的にアノス様と二千年前の配下たちが再会した時の反応や、配下たちの苦悩する心中なんかがとても好きです。
苦しい戦乱の時代を共に生きたからこその絆をしっかりと感じさせてくれますし、それでも捨てられない”今”を持つ彼らの苦悩も際立ちます。
そして、それに対する理解を示すアノスの器量の大きさも引き立てられ、アノス様万歳!となりつつもじんわり感動するシーンもしっかり完備。
今巻では創術家ファリス・ノインにスポットが当てられ、これが描かれました。
芸術を愛する画家としてアノスに仕え、転生後は芸術のないバランディアスに生まれてしまったファリス。
苦悩の末、戦士として生きることを決断し、《銀水序列戦》中に事実上の元首にならざるを得なかった悲しき画家。
この苦悩はヒシヒシと伝わってきましたし、そんな過酷な運命を許さないアノスの怒りも伝わってきました。
だからこそ《銀水序列戦》では単なる勝利ではなく完膚なきまで相手を叩きのめす、完勝の道を選んだのでしょう。
そんなファリスとアノスの視点も良かったですが、個人的にはシンの一言もグッときました。
私は絵を解しません。ですから、彼が嫌いでした
魔王学院の不適合者 11巻
それでも、我が君はその甘ささえ愛し、勝手を許されたのです
魔王学院の不適合者 11巻
いやよく見てるなあと。
同じ王を信じ、仕える者として垣間見える信頼。
自分が仕える王が認める者だからこそ、例え自分が理解できない者でもしっかりと自分なりに見極め受け入れる。
ファリスの事を良く見ているなというのもありますが、シンから見たファリスの評価はアノスへの全幅の信頼を表しているなと感じられる素晴らしい描写でしたね。
一見するとファリスの事をボロカスに批評していますが、そんな彼を赦し現状に同情するシンの言葉には独特の含みがあって凄く良かったです。
考察
イザベラの前世
この章でのキーパーソンの1人は間違いなくアノスママ・イザベラでしょう。
正確に言えば彼女の前世ですね。
イザベラは『災禍の淵姫』と間違われ襲撃されました。
おそらくこれは間違われたというよりは、彼女の前世が『災禍の淵姫』だからという言うべきでしょう。
考えてみればアノスの転生先になる両親ですから、アノスパパ・グスタだけでなくアノスママであるイザベラも特別な前世を持っていて当然。
むしろ前世が特別でない方が不自然と言えるかもしれません。
そんな『災禍の淵姫』はその名の響きや襲撃者の反応から見て、災禍世界イーヴェゼイノと関係のある人物で間違いないでしょう。
エクエスを従えているイザベラを見て、主神を従えていることに納得されている点も踏まえると、災禍世界の元首だった人物の線が濃厚そうですよね。
何らかの理由で災禍世界イーヴェゼイノを捨て、ミリティア世界に転生した可能性が高そうです。
アノスの魔力の波長がイーヴェゼイノの民と近い事から見ても、順序的にはアノスがミリティア世界生誕→ 災禍の淵姫が追いかける形で転生といった流れでしょうか?
この章では間違いなくイーヴェゼイノとの戦いやそれに付随する物語が展開されるはずなので、この部分からは目が離せないですね!
アノスの滅びの根源
ミリティア世界には強すぎたアノスの根源の謎も、今巻で少し見えてきました。
ミリティア世界では強すぎても、より深く強い深層世界ならば強すぎるということはない。
この理屈が通るなら、アノスの根源もまたミリティア世界の外で生まれたものとみるのが妥当でしょう。
それこそファリスの火露がミリティア世界から外に漏れ、バランディアスに辿り着いたのの逆バージョン。
魔力の波長が近いとアノス本人が認めるくらいですから、恐らく災禍世界イーヴェゼイノで誕生した根源と見て間違いないでしょう。
少なくともイーヴェゼイノにルーツを持つか、関わりがあるのが確定のはず。
しかしそうなってくると注目なのは、他のイーヴェゼイノの民の根源や実力ですよね。
これまで世界を滅ぼさないように力を抑えていたアノスですが、そんな彼と同種の根源を持つ敵が何人も現れた時にどうなるのか。
僕たち読者も毎巻感じさせられ、虜になるほど強いアノス様と同種の根源が敵に回ると思うと、楽しみでありドキドキしてきますね!
魔王学院12巻の発売日
今後の銀水聖海でのストーリーが気になる魔王学院の不適合者 12<上>巻の発売日は2022年8月10日です!
また、今巻と同日にしずまよりのり先生の画集が発売されているのでそちらも要チェック!
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