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ソードアート・オンライン オルタナティブ ミステリ・ラビリンス 迷宮館の殺人【あらすじと感想】

単発記事
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なんかまたSAOのスピンオフが出とるなあ…と思いきや○○館の殺人!!

ミステリ好きは『館の殺人』というワードに弱いことが知られており、僕も例に漏れない人間なので思わず購入。

期待以上に良い作品だったので、感想をまとめてきます!

※トリック関連の【ネタバレ】なしです!!!

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ストーリー

仮想現実ゲーム・SAOの中で綴られた手記を入手したテセウスとスピカは、その手記に記された連続殺人事件を推理していく。

舞台はアインクラッド二十層・迷宮館…

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ソードアート・オンラインは読んだ方がいい?

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本作は大人気ライトノベル『ソードアート・オンライン』(通称SAO)のスピンオフ小説であり、世界観や設定をSAOと共有しています。

特に本作が舞台とする仮想現実ゲームのソードアート・オンライン(SAO)と、手記を読む探偵役が居るアルヴヘイム・オンライン(ALO)関連の設定は全てSAO本編で構築されたもの。

ここについて行けるかどうかが、本作をSAO未読で楽しめるかどうかの分かれ道だと思います。

キャラクターなどは一切共有していないので、世界設定に入っていけるかどうかですね。

筆者はSAOを読んでいますが、SAO未読でも問題なく楽しめる作品だと思いました。

その理由としては、作中で十分過ぎるくらい世界設定の解説があったからです。

SAOを今でも読み続けている自分としては、当たり前すぎてくどく感じるくらいでした(笑)

VR×デスゲームの設定や、SAOというゲームの仕様、特に推理を進めるにあたって考慮する必要がある現実世界との違いはとても丁寧に説明されていました。

例えば、殺人を犯すとステータスの表示が変わるので、犯人は直接手を下したわけではない…とかそういった話ですね。

SAOを読んでいた方がスッと世界に入っていけるので読みやすいとは思いますが、スピンオフとはいえSAO未読でも十分楽しめるでしょう。

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感想

特殊設定ミステリー×クローズドサークル×SAOのベストマッチ

この組み合わせは強いなあ…と感じさせられる内容だったなと思いました。

現実世界にはまずねえだろ!という奇妙な館に、問答無用でプレイヤーを殺害するモンスター、ダンジョンに閉じ込められるという自然なクローズドサークル

どれもSAOならではの要素ですし、これらを用いて不可能犯罪を行うのはまさに特殊設定ミステリーの醍醐味。

SAOは特にソードアート・オンラインの設定が細かく作り込まれているので、特殊設定に関しては文句なしのクオリティ。

思えばSAO8巻の圏内殺人もワクワクしながら読んだ記憶があるので、素材としては超一級品だったのでしょう。

単に殺人者が居て犯罪が行われるというだけでなく、問答無用でプレイヤーに死を突き付けるモンスターが徘徊しているのも緊迫感があるため、退屈することなく読み進めることができました。

『ミステリ』の部分に関しても、トリック(ハウダニット)や動機(ホワイダニット)がSAOならではで、綺麗に融合させてきたなと満足感たっぷり。

素直に読んでよかったなと感じられる一冊でした。

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本格ミステリー入門としての読みやすさ

レーベルがライトノベルを扱う電撃文庫なことからも分かるように、本作はライトノベルでもあります。

そしてライトノベルの特徴といえば、やはり読みやすさ

ライトという単語の通り、重すぎず読みやすい文体やボリューム感になっています。

これが素晴らしく、本格ミステリー入門としてはうってつけの特徴となっています。

本格ミステリーって、どれも結構読むのが大変というか、カロリーを使うので慣れていない人からは敬遠されがち。

これは国内外問わずで、ミステリーファンが絶賛する名作ほど読みづらかったりします。

ぶんちりー
ぶんちりー

僕のお気に入りのホームズやヴァンス、御手洗潔も読みやすくはない…

ところが本作は本格ミステリーを謳いながらも、ラノベらしさがあり読みにくさというハードルを取っ払っています。

それでいて、ロジカルな推理、隔絶された空間(クローズドサークル)、探偵と助手、設定を利用した不可能犯罪(特殊設定ミステリ)といった本格ミステリーの醍醐味をしっかりと押さえています。

読みやすいながらも醍醐味を味わえるので、これから本格ミステリーに入っていくための入り口としては素晴らしいんじゃないかなと思いました。

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ミステリー好きにSAOをアピール

上ではSAO好きが、本格ミステリーに入っていく入り口として本作は素晴らしいと書きました。

そして入り口として見ると、本作はSAO→ミステリーだけではなく、ミステリー→SAOとしても成り立つんじゃないかなと思います。

特に特殊設定ミステリー好きで、SFやファンタジー小説が好きな方には興味をそそられる内容だったんじゃないかなと。

というのも本作は土台となる本編があるため、特殊設定ミステリーの中でも世界観の構築は屈指のクオリティ。

2年間もデスゲームに閉じ込められ、さながら現実のような仮想世界で生活するという極限状態の人間模様はなかなか興味をそそられるもの。

本作の登場人物たちから垣間見えた、傍から見ると不自然な思考回路なども世界観と照らし合わせると妙にマッチします。

ミステリー好きは○○館の殺人というタイトルに弱い生き物なので、この一冊を機にソードアート・オンラインという世界に興味を持つんじゃないかなと思いました。

実際に僕は10年以上前にアインクラッドという世界と出会ってから、早く僕たちの世界でもナーヴギアとソードアート・オンラインが発売されないかなと待ち望んでいます。

個人的な構成に関する感想

これは若干批判的な感想になりますが、個人的には本作の構成はあまり好みではありませんでした。

手記と現在を行ったり来たりするのが、もどかしいんですよね。

本作をSAOとしてみると、探偵たちが居る『現在』も重要で、むしろそちらがSAOらしいテーマがあったと思います。

しかし本作を本格ミステリーとしてみると、『探偵』も迷宮館に居て欲しかった。

探偵もクローズドサークルの中に閉じ込められ、最後はそこで鮮やかに殺人事件を解決する。

迷宮館の殺人に関しては過去だけで完結させられるものだったと思いますから、現代パートは要らないかなともいました。

まあ完全に僕の好みの問題ですし、前述の通りSAOらしいテーマも盛り込むなら現代パートは必要だったと思うので難しいところですね。

SAOとして見るか、本格ミステリーとして見るか。

ここが何対何かで感じ方が変わるところかなと思います。

本作で本格ミステリーに興味が出たら

最後に本作で本格ミステリーに興味が出たよ!という方に勧めたい作品をご紹介!

まあ『迷宮館の殺人』というタイトルからして、もうこのシリーズに決まりなんですけどね(笑)

それは作中でもタイトルが登場した、迷路館の殺人…のシリーズ1作目である十角館の殺人

日本の本格ミステリーを代表する『館シリーズ』の1作目で、多くのミステリーファンから絶大な支持を集める名作オブ名作。

まだ読んでいない人が羨ましい…!!

あの快感を人生でもう一度味わいたい!と多くのミステリーファンを生んだ作品です。

そして外せないのが、作中でもタイトルが登場した迷路館の殺人

『館シリーズ』の3作目で、個人的には1作目の十角館、5作目の時計館と並んで特に好きな作品です。

こちらは迷宮館のように、内部が迷路となっている奇天烈な館で起きる連続殺人を描いた名作。

本作のタイトルは間違いなくこの作品を意識しているでしょうから、手に取ってみるのをオススメします。

新本格ミステリーの代表格である綾辻行人さんの作品を読んでみれば、きっとそのまま色んな本格ミステリーに興味が出てくるはずです!

コメント

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