FREEDOM!!!!
あまりにも最高過ぎて見終わった後は放心し、翌日から定期的にSEED FREEDOMを再接種しないと生きられない身体になったワイ。
そんな僕の前に表れた小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOMの感想です!
人類のほとんどがもう1回観に行こう…となっているはずなので、その前にオススメだよ!!というこの小説を紹介していきます。
これで2周目以降も更に楽しめる。んほぉ~たまんねェ~~
この記事を読む前に
機動戦士ガンダムSEED FREEDOMは今年の1月26日から公開されている最新の映画で、可能なら映画館で、そうでなくともまずは映像でたっぷり楽しんで欲しい作品です。
機動戦士ガンダムSEEDと機動戦士ガンダムSEED DESTINYは僕たち20代中盤以降の世代にとっては、幼少期を彩った最高の作品。
長く待ち望んでいた劇場版ですから、まずはネタバレを踏まないで映画を楽しんで欲しいなと思います。
そして映画を見たら、この小説を買いましょう!(ダイマ)
そんなわけで、この記事は当然もう映画は観たよね?という体で書き進めていきます。
※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!
上巻のストーリー
本作は上下巻構成となっており、上巻は本編のちょうど半分くらいまでが描かれています。
具体的には冒頭のアフリカ共和国オルドリン地区にヤマト隊が参戦するシーンから、アスランがズゴックで駆けつけてキラを助けるシーンまで。
ドロドロとしたガンダムSEEDみがあるシーンが多かった前半部分の小説化になっていました。
感想
大前提として
まず大前提として、筆者はSEEDとDESTINYが大好きです。
初めて触れたガンダムですし、幼稚園~小学校時代に見ていたのもあり思い入れが強く、HDリマスターの配信や友人への布教で何度も繰り返し見るほど好きです。
そして『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』も大好きです。
ガンダムシリーズで一番好きなキャラクターはシン・アスカだし、一番好きな機体はデスティニーだし、一番好きなヒロインはステラ・ルーシェです。
そんな大ファンが映画館に足を運び、SEED FREEDOM面白すぎだろ!!!ってなった状態のまま本作を読んでいるのをご理解ください。
素晴らしい補完の数々
個人的な映画の感想として、ここら辺まではガンダムSEED、これ以降はFREEDOMという印象だったので、この小説はかなり良い仕事をしている作品でした。
前半はガンダムSEEDらしいシリアスでドロドロとした、ねっとり人間模様を楽しむ要素が多かったので、映画では描き切れていなかったキャラクターのバックグラウンドや思考などが描かれているんですよね。
こういった補完のおかげで各キャラクターの行動にも説得力が増しましたし、あの時ってそういう事考えてたんだ…とより解像度が高まります。
ちょうど2月9日から4DXやMX4D、Dolby Cinemaなどが解禁されるので、もう1度映画館に足を運ぶ前に抑えておきたい内容が多かったです。
後述の内容以外にも、
- ラクスがミーアの件に責任を感じてコンパス総裁になったこと
- 世界が求めるラクス・クラインと本来の自分とのギャップに苦しんでいたこと
- キラはシンの事を信頼してジャスティスを任せていたこと
- キラとラクスのピクニックで楽しいはずの会話をしている時、キラは心ここに在らずだったこと
- ラクスはキラの精神状態を心配していたこと
- 本編前のフリーダム強奪事件について
などなど…
この補完のおかげで、2周目以降もまた色んな楽しみ方ができるなと思いました。
新キャラクターのバックグラウンド紹介
まず大きかったのは、本作で新たに登場したキャラクター(特にコンパス所属)のバックグラウンド紹介。
サラっと書かれていましたが、そういう人だったんだ!とイメージを深めるのに役立ちました。
例えば技術士官のルルーシュハインライン大尉。
オタク特有の早口で喋る有能技官ぽかったけど何者???と思っていた彼にはサラっとこんな一文が。
何しろアルバートはフリーダム、ジャスティスの生みの親の一人だ。技術者にとっては神のような存在といえよう。
小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)
マ??????
と驚きましたし、何か色々トンデモ装備を作っているのも納得。
あと周りのエンジニアには辛辣なのに、プログラムを任せるほどキラを信頼していたのも納得。
強奪されたとはいえ、自分が手掛けたフリーダムで英雄的活躍をしたパイロットの事は信頼するわな…と頷いていまいました。
マイティーストライクフリーダムとかいうトンデモMSを作れるのコイツだけだわ…と色々ストンとハマった感がありました。
他にもいい大人感たっぷりだったコノエ艦長。
後に合流したマリューさんに艦長の座を譲っていましたが、そんな彼は軍人には珍しく元教師であり、合理的な艦の運用が評価されていた人物だとか。
SEED世界の軍人に見られる邪魔なプライドがなく、作戦への適性でマリューさんを艦長に指名したのはそういう人物だったからか…とその後の行動に説得力が生まれます。
最後にアグネス。
この娘に関してはルナマリアの発言で薄々分かってはいましたが、性格が終わってることが明確に描写されていました。
キラを狙っていた理由は『ラクスから恋人を奪った女』になるためだし、キラを落とせると思っていたのも『自分はラクスより強く、美しい』と考えていたから。
コンパスを裏切った理由も、ラクスより価値がある自分を受け入れないなら復讐してやる!!というOh…みたいな理由。
キラにキスを拒まれるシーンは、劇場に居た人100人中150人くらいが『そら拒まれるだろ…』と思っていましたが、当のアグネスだけはそうは思っていない事も描写されていました。
誰だって自分にキスされたら喜ぶに決まっていると思っていたからだ。
小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)
オマケに士官学校時代には友人(と少なくともルナは思っていた)であるルナの彼氏を寝取るなど、昔からバケモンムーヴをしていた模様。
元カレを寝取られ、今カレを馬鹿にされているのに表面上は仲良くするルナが大人過ぎる
こういったワンシーンの裏にある思考などがキッチリ描写されていたため、その後の行動にも一貫性や説得力が感じられたのは素晴らしいポイントだったと思います。
劇場版で参戦したキャラたちの濃さたるや
後編も恐らくアコード(特にイングリットとオルフェ)あたりの心理描写が楽しみですね。
アグネスの存在意義
さて、そんなアグネスですが、ルナの見せ場要員以外ではどんな役割があったん?別にルナはブラックナイトのリデラード相手に見せ場作っとけばよくね?という声も友人から届きました。
僕もそう思う部分も若干あったのですが、この小説を読み、感じていたアグネスの存在意義がよりハッキリとしました。
アグネスは場をかき回すという役割とは別に、デスティニープランの欠点を体現するという役割もあったと思います。
そもそもデュランダル議長が提唱したデスティニープランには、キラやラクスが語った人の自由とは別に大きな欠陥があり、それ自体はDESTINYでシンとアスランが体現していました。
人間はいくら適性があっても、心がついて行かないと十全にパフォーマンスを発揮できない。
これが人の心を見誤り、最期はレイに撃たれたデュランダル議長の失敗であり、デスティニープランの欠点である。
それをシンとアスランとは違った形で表現していたのが、アグネスだったんだと思います。
シンとアスランはデュランダル議長が戦士としては最強と認めた、MSパイロットです。
しかし彼らはメンタルブレイクによって十分に力を発揮できず、敗北するシーンがあります。
セイバーでフリーダムに敗北したアスランや、デスティニーでジャスティスに敗北したシンがそれですね。
彼らの敗因は戦闘技能ではなく、力を発揮できない精神状態にありました。
適性がどれだけあろうが、心が枷となって力を発揮できないという問題を行動で示したキャラクター達ですね。
ではアグネスは?
彼女の場合は、人はそう簡単に現実を受け入れられないという事実を体現したキャラクターだったと思います。
これはアグネスのシンに対する言動や考えからよく分かりますね。
シンは戦士としての才能が最も優れているとデュランダル議長が認め、新人時代にはインパルスを、戦争後期にはデスティニーと特務隊FAITHという名誉を与えた存在です。
一方アグネスはデュランダル議長には認めてもらえず、月戦線にずっと配属されプロパガンダとして『月光のワルキューレ』という二つ名を与えられていた存在。
デスティニープランに則るなら、MSパイロットしてはシンの方が明確に”格上”なのです。
しかしアグネスはそれを全く認めてはおらず、シンに突っかかります。
もっと言えば、遺伝子・素質的な部分だけではなく、実績で見てもアグネスはシンに大きく劣っています。
シンの戦績は
- オーブ沖でのネビュラ勲章レベルの活躍
- アビスの撃墜
- ガイアの捕獲
- 初のデストロイ撃破(フリーダムと共闘)
- フリーダム撃墜
- ヘブンズベース攻略戦での大活躍
- レクイエム攻略戦での大活躍
など第二次連合・プラント大戦のザフト兵では、間違いなくトップの功績を残しています。
どう考えてもエース・オブ・エース。
戦績の欠点でいったら、第1次連合・プラント大戦に参加していないことくらいでしょう。
片やアグネスは、月艦隊で小競り合いをやっていただけ。
もちろん配属の運はあれど、普通に考えてシンほどの戦績は残せないでしょう。
ザフト兵でシンの実力に疑い持つ奴がいる事に驚きだわ
それでもアグネスは現実を受け入れず、自分はシンよりも、ラクスよりも上だ!!と信じて突っ走ります。
実績を示されても受け入れられないのに、遺伝子情報から読み取った素養だけで現実を受け入れられるわけがない。
アグネスは、デスティニープランがカバーできていない、人の感情を体現したキャラクターだったと思います。
こういったアグネスの思考は、小説でかなり補完されていたので素晴らしかったと思いますね。
しかもこういう考えでアグネスを見ると、何か色々許せてきますしね。
このキャラって僕的には
- 見た目:100点
- 声:100点
- 性格:-100点
- 行動:-100点
という脳破壊マシーンなので…
シンが大活躍する伏線
ジャスティスだから負けたんだ!
で劇場をザワつかせ、フラグを建築したかと思いきや本当にデスティニーで大暴れしたシン。
最新機イモータルジャスティスに乗り、1vs1で負けた相手に何故か旧型機デスティニーの1vs4で勝利したわけですが、キチンとその伏線がいくつかはられていました。
イモジャとの相性
まずはイモジャとの相性。
そもそもインジャ以降のジャスティスは、至る所にビームサーベルを仕込んだ近接特化全身凶器MS。
相手の意表を突いた格闘技を持ち味とした、相手との読み合いに優れた機体です。
一方シンの強みと言えば、超高速戦闘に対応できる反射と、異なるレンジの武器を適切に扱える瞬間判断能力であり、得意なのは高速での一撃必殺です。
要はシンの強みとイモジャの強みは、全く合っていないわけですね。
頑張って足でサーベルを使ったりとアスランっぽい戦い方をしていましたが、そもそも読み合いとか意表を突くとかが苦手なタイプなんでしょう。
オマケに自分を2回も負かしたインジャの後継機で、DESTINYで何かと衝突していたアスランのイメージが強い機体。
気分的にもアガらないわな(笑)
そんなわけでシンは相性の悪い機体に乗っていたわけですが、その違和感がシンの思考でバッチリ表現されていました。
正直、自分の搭乗機がジャスティスであることには、どうしても違和感が拭えないのだが。
小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)
そんな技術的にもメンタル的にも相性の悪いジャスティスから、わぁ!デスティニー!と歓喜するほど愛着があり、技術的な相性も抜群なデスティニーに乗り換えたから八面六臂の大活躍をしたんだなと納得感が増しました。
だからってジャスティスだから負けたんだ!はイモジャが泣くぞ!この馬鹿野郎!
アコードたちの勘違い
アコードたちはアコードたちで、本来最も警戒すべきシンへの評価が異常に低いという疑問点がありました。
シン×デスティニーは、恐らくアコードとの決戦も想定していたデュランダル議長が自身の懐刀に選んだ人物です。
キラとラクスが居なくても、最悪アスランが居なくても、シンが居ればデスティニープランは完遂できると評価していたほどの人物で、デュランダル議長的には『別にシン1人でアコード全員倒せるが?』くらいの評価だったのでしょう。
それなのに当のアコードと来たら、シンがデスティニーで登場しても新兵の馴らしに丁度いいだの、勝てるわけがないだと舐め腐った様子。
その理由は、イモジャに乗ったシンとの戦闘が大きな要因だったようですね。
これがグリフィンのモノローグで、しっかりと描写されていました。
実際に手合わせして確信した。シン・アスカはたいした敵ではない。
小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)
ところがこの戦闘、シンには2つの大きなデバフがかかっていた戦闘です。
- 相性の悪い機体
- 考える事が多い状況
1に関しては、イモジャとの相性で述べた通り。
そして2に関しても、ファウンデーションの裏切りで混乱する中、キラを助けに行くか、アークエンジェルを守るかといった判断を迫られる状況です。
更にキラの行動も不可解で、シンらしいクリアな思考で戦える状況ではありません。
実際に決定打を貰ったシーンも、アークエンジェルが落とされて動揺した瞬間。
目の前の敵を倒せばヨシ!というシンが最も力を発揮できるシンプルな戦況とは真逆の、混沌とした戦況だったわけですね。
そんなデバフがかかり、本来の力が発揮できないシンを見てアコードは勘違いをしてしまったわけです。
その結果が、ブラックナイトスコード4機という不十分な戦力での決戦と敗北。
こういった要因が重なった結果、シンはデスティニーで無傷の大立ち回りをやってのけたんだなあ…と満足しました。
シンとデスティニーに活躍の場をくれて圧倒的感謝
下巻の発売日
色々と小説での表現が楽しみな小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(下)は2024年3月26日発売です!
上巻が素晴らしい補完小説となっていたので、下巻も楽しみですね!
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