アリス暴走!
超絶者編も色々と情報が集まってきた物語が前進する一冊でした!
※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!
創約7巻のストーリー
- 年末の出稼ぎを終え超絶者・アラディアを捕縛したまま学園都市に戻った上条当麻たちは、お正月を迎える。
- 橋架結社が学園都市に領事館を構える。
- 橋架結社領事館に招待された上条は、橋架結社が裏切り者・アンナ=シュプレンゲルを抹殺しようとしている事を知る。
- 上条さんは超絶者・トリスメギストスに命を狙われるも、超絶者・旧き善きマリアが上条を守るべく参戦。
- 超絶者たちの行動に怒ったアリス=アナザーバイブルはその場を制圧。
- アレイスター=クロウリーやアンナ=キングスフォードに捕縛されたアンナ=シュプレンゲルを発見した上条は、彼女を救出し逃亡する…
感想
いよいよ明かされる超絶者たちの本質!
今巻は橋架結社領事館というパワーワードから一気に物語が動き、橋架結社と超絶者がどういった存在なのかがかなり見えてきた一冊でしたね!
同時に、アリスの規格外っぷりも改めてよく分かる一冊でした。
そんな中で最も印象的だったのは超絶者と上条さんの対比。
あとがきにもありましたが、超絶者と上条さんはある意味対極に位置する考えを持った存在です。
超絶者は自身が定めた条件に合致するものを救い、それ以外を切り捨てる存在。
例えばアラディアなら、十字教によって不利益を被る貧しい魔女というのが救済のトリガーになっています。
インデックスというイギリス清教の切り札を守るために、身を擦り減らす上条さんならトリガーに当てはまる。
ただ、条件に合致する者を救うというスタンスなため、上条さんのこれまでをオティヌスに知らされるまでは救済対象に入っていませんでした。
このように条件の一致で判断する機械的な決め方。ANDやOR、NOTのように厳密に線引きをするのは上条さんとは対照的。
上条さんはとにかく救いたいと思ったら救う。
目の前に理不尽があればそれから助け出す。
相手が誰だろうがどんな境遇だろうが、自分が救いたいと思えば動いてしまう男です。
どちらが良い悪いではないと思いますが、これまでの上条さんの行動とは異なる指針で救済に動く存在なんだなというのが見えたのは大きく理解が深まりましたね。
考察
悪い方向に働いた上条当麻属性
今巻で象徴的だったのは、上条さんの属性がひたすら悪い方向に働いてしまった事でしょう。
アリスの暴走は間違いなく上条さんの行動が積み重なった結果。
その行動の原動力は全て、上条さんのヒーロー属性によるものでした。
橋架結社に首を突っ込みすぎてしまった事。
アンナ=シュプレンゲルの抹殺を阻止しようとしてしまった事。
そのためにアリスをコントロールしようとした事。
トリスメギストスに倒されたアラディアを守るべく、旧き善きマリアを巻き込んだ事。
アリスを止めようとした事。
1つ1つはどれも間違いと言えるものではなく、上条さんならそうするだろうと誰もが納得する行動です。
しかしながら、結果としては大惨事。
回避できる可能性もあったアリスの暴走を引き起こしてしまいましたからね。
考え方が対照的な超絶者の存在といい、橋架結社は上条さんにとって大きな試練と言える集団だなと思わされる展開でした。
アリスはオティヌスになりたかった?
圧倒的な力で持って上条さんや超絶者達をねじ伏せたアリス=アナザーバイブル。
そんな彼女は上条さんに対して涙を見せました。
恐らくこれは、自分の望みが叶わないと感じたからじゃないでしょうか。
そもそも今回アリスが「キレた」のは、上条さんがアリスに恐怖を抱いたのが決め手に見えます。
トリスメギストスや旧き善きマリアへの処罰を邪魔したからでも、アリスと戦おうとしたからでも、ではなくです。
行間にあった、力が突き抜け過ぎてしまった少女。
これは間違いなくアリスでしょう。
そしてそんな少女はどうなったか?
答えはシンプルで、孤独になってしまいました。
それは超絶者達が集う橋架結社という組織においてもです。
超絶者たちからしても、アリスは規格外の暴君。
規格外の魔術師を集めた組織で規格外となってしまったアリスには、彼女の孤独を埋めてくれる場所がなかったのでしょう。
そんなアリスにとって、上条さんとオティヌスの関係は希望の塊。
文字通り神の領域に到達したオティヌスの理解者となり、世界を敵に回した逃避行の末、幸せな関係を築いているわけですからね。
規格外であり当時は間違いなく暴君だったオティヌスの理解者になれたのなら、自分の理解者にも。
アリスがそう思ってしまうのはとても自然に思います。
だからこそ、上条さんに恐怖され、拒絶されたように感じたアリスは絶望に近い感情を見せたのでしょう。
そしてアリスはゆっくりと白い息を吐いて、何かを諦めるような顔になった。
創約 とある魔術の禁書目録 7
そして今回のオティヌスポジションに収まったのは、事の発端であり元凶であるアンナ=シュプレンゲル。
もしアリスの望みが孤独を埋める事なら、上条さんの行動はアリスを更に怒り狂わせてしまいそうですね。
一番ヒロインしているアレイスター
最後に思ったのは、アレイスターの圧倒的ヒロインっぷり。
「上条当麻を助けたかった…。人を助けたかった、私も一回くらいそんな事がしてみたかった!本当に、ちくしょう、本当にそれだけだったのに‼何で私はっ、いつもいつもこうなるんだよおオオオ‼‼‼」
創約 とある魔術の禁書目録 7
上条さんを救おうとし裏で走り回っていたのにも関わらず、捕らえていたアンナ=シュプレンゲルを上条さんに奪われ逃走されてしまいました。
アレイスターから見れば、救おうと頑張ったのに自分から首を突っ込んだ挙句、大惨事を引き起こしアンナを勝手に解放までしていく始末。
主人公のために頑張ったのに報われないヒロインそのものですよね。
そしてそれに耐えきれず、泣き叫んでしまうところもヒロインポイント高め。
アレイスターは基本凄いのに、最後の最後で何かしらのエラーが起きてぐぬぬとなってしまうところが相変わらずで、実家のような安心感がありましたね。
この作品のメインヒロインはアレイスターなんじゃないんだろうかと改めて思わされました。
創約8巻の発売日
アンナ=シュプレンゲルとの逃避行が気になる創約 魔術の禁書目録 8巻の発売日は2023年5月10日です!
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