上条当麻、地獄巡りを始める!?
地獄というトンデモナイ舞台と、禁書には珍しい構成でワクワクしながら読める一冊でした!
※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!
創約11巻のストーリー
- カエル顔の医者によって死亡が宣告された上条当麻は、地獄でアンナ=キングスフォードとクリスチャン=ローゼンクロイツ(ヨハン=ヴァレンティン=アンドレーエ)に出会う。
- 地獄からの脱獄を目指し、3人は地獄の最深部・コキュートスを目指す。
- CRCの狙いを見抜いていたアンナは、上条の脱獄に成功させたように見えたが…?
感想
地獄巡り編!
舞台がまさかの地獄という、シャーマンキングかよ!みたいな境地にたどり着いた上条さん。
そんな彼が一足先にあの世に行っていた敵役・CRCと再会して、アンナを加えた3人で地獄からの脱獄を目指すストーリーはシンプルながら面白かったです。
禁書にしては珍しく、メインキャストはたったの3人。
ストーリーも初志貫徹で、地獄からの脱獄を目指すぜ!と非常にシンプルな構成で、登場人物の少なさと相まってとても読みやすかったです。
シンプルながらも、CRCとアンナの、それぞれの思惑は?だったり、地獄ってどんな仕組みなの?本当に脱獄できるの?といった疑問を抱きながら、最後にネタバラシがある展開はつかまれましたね。
この先どうなるの?とドキドキしましたし、ラストはなるほど~~と納得感もあり満足感のある一冊でした。
純粋な善人であるアンナの善を、疑わずに信じられる?というテーマも、創約で扱っている善悪というテーマにマッチしつつ、この一冊ならではで唸りました。
ちなみに僕はアンナの善をガッツリ疑ってしまいましたね。
薔薇十字の起源とCRCの動機も綺麗に解説されて、創約9巻の答え合わせ感もあってとにかく満足でした。
答えは最初から示されていた
今回読み終わっておもしろ!となったのは、かな~り序盤から『地獄』の答えが提示されていたこと。
ケルベロスやれ、すり鉢状やれ、サタンやれとやたら西洋に偏った地獄だなとは思っていましたが、それが答えだったとは。
思い返せば、3人以外の死者が全く出てこなかったのも納得。
CRCが復活のために作った『地獄を模した位相』であり、本当の地獄じゃないんだからそうなるよなと。
製作者のCRCのイメージに引っ張られているのが納得感がありますし、ヒントどころかほぼ答えが初めから提示されていたとは。
読んでいて感じた疑問や違和感が、綺麗に紐解かれたラストの満足感はたまらなかったです。
考察
この世で最も罪深い3人とは?
地獄の最深部に居る悪魔大王の解説で、この世で最も罪深い3人というワードがチラホラ出ていました。
禁書あるあるで、こういう世界観の勉強が好きなので今回も紹介していきます。
CRCの地獄観は、ダンテの神曲がベースになっているようでした。
そんなダンテの神曲:地獄篇では、最奥に悪魔大王がおり、主人に対する裏切りという最も重い罪を犯した3人が罰せられています。
この3人が、悪魔大王ことルシフェル、またの名をサタンの3つの顔、3つの口に噛み砕かれていた3人です。
そしてその3人は、以下の通り。
- ユダ
- ブルータス
- カッシウス
ユダはイエス・キリストを裏切ったことで有名な、あのユダ。
ブルータスとカッシウスは、「ブルータス、お前もか」で有名なローマ皇帝・カエサルを裏切った2人です。
この3人が最も罪深い3人を指すようですね。
この知識があれば、地獄の最奥・ジュテッカに上条さんがたどり着いた時点で、CRCのイメージに引っ張られ過ぎていると気づけたかもしれません。
CRCはルネサンスの少し後に生きた人物で、ダンテの神曲が広まってからあまり時代が離れていないですからね。
禁書本編とは関係ないですが、ユダ、ブルータス、カッシウスの3人が最も罪深いとされるのは、当時の宗教観や思想が垣間見えて、味わい深くて非常に好みでした。いい勉強になった。
上条さんは結局どうなったのか
CRCの思惑に乗っかり、仮初の地獄から脱した上条さん。
CRCの狙いが正しく機能するのであれば、世界を騙して、上条さんは蘇生できたことになります。
しかし、ラストシーンの描写では、上条さんが蘇生したようには見えません。
いったいどうなったのか。
1つの仮説として、CRCの方法では蘇生できないのでは?という疑問があります。
CRCの方法は、こういう手法だと考えられます。
現世とあの世の間に『仮初の地獄』という位相を挟んで、そこから脱獄することで、あの世から脱獄したと世界に誤認させる。
要するに、世界を騙すぜ!ということ。
そして気になるのは、本当に世界を騙せるの?という話。
この方法で行けるならアレイスターあたりももっと楽に蘇生できたのでは?という気がしますから、疑問が残りますね。
2つ目の仮説として、魂が肉体に戻っていない説。
アレイスターが分かりやすいですね。彼も自身の肉体ではなく、別の肉体に憑依するような形で蘇生を果たしています。
これつまり、上条さんもどこかの美少女の身体に憑依したのでは…?
こうなったら幻想殺しや竜王の顎はどうなるの?といったポイントも気になりますし、上条さんの謎がまた1つ明かされそうで面白い気がしますね。
果たして上条さんはどうなったのか。次巻が楽しみ過ぎます。
創約12巻の発売日
上条さんがどうなったかが気になる創約 とある魔術の禁書目録 12巻の発売日は未定です!
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