イリヤは過去に飛ぶ!
明かされるダリウスとパンドラの過去に、イリヤの決断など見所満載の一冊でした!
※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!
プリヤドライ13巻のストーリー
- ダリウス・エインズワースによってこの世すべての贈り物の孔が開かれ、世界が滅びに向かう中イリヤスフィール・フォン・アインツベルンはガイアの抑止力と共に星命の記録を垣間見る。
- イリヤは過去のダリウスがパンドラを救うべく編み出した自身の概念置換魔術によって狂っていく様を目撃し、過去のダリウスから『箱』を受け取る。
- パンドラが生まれたばかりの頃(6000年前)に遡ったイリヤは、現代の人々の記憶から消え去る。
- 『妖精』としてパンドラに接するイリヤは、遂に『箱』をパンドラに渡すことに成功し…次巻へつづく。
感想
過去に遡るイリヤ!
今回はもうこれにガッツリウェイトが割かれた、今の盤面をひっくり返すための下準備のような一冊でした!
しかしながら侮ることなかれ。
後述しますが、イリヤが決断を下すシーンの描写は物凄いクオリティで、読んでいるだけで色んな感情が込み上げてくる素晴らしいシーンでした!
肝心のストーリーも面白く、ダリウスとパンドラの出会い、ダリウスが狂っていく過程、そして希望を託されるイリヤ。
エルピスとはまた別の、『一縷の希望』である『箱』を託され、更に過去に飛ぶという王道ながらも読みごたえのある展開でした。
消えてしまったイリヤの事を、みんなが朧げに覚えているのもいいですよね。
表紙の美遊は、きっとイリヤと一緒に美遊がいたら、こんな表情でイリヤを止めたんだろうなという『if』の表情。
これまでの2人の関係が分かるからこそ、美遊がすぐ違和感に気付いて、涙を流すのは最高にエモかったです!
あと、星命の記憶がプリヤ1期のOP『starlog』と同じなのもエモかった。
プリヤと言えばstarlogというくらい、多くのファンに印象付けられている1曲ですからね。
プリヤは徹頭徹尾ファンサービスも旺盛で、ギルガメッシュとルビーのやり取りなんかもコメディ調ながら型月ファンにとっては嬉しいネタが入っていて読み心地が本当に良かったです。
希望を持って『次』に臨めるところで今巻は終わりましたから、次巻が楽しみでしかたないですね!
ヒーローとなるイリヤ
6000年前まで時間遡行を行うと、現代に帰ってくることはできず、みんなの記憶からも消えてしまうことが明らかに…
そんな中イリヤは、それでもパンドラを救いたい、彼女の友達になりたいと言い、6000年前に飛ぶことを決心しました。
ここの描写は本当に素晴らしかったですね!
前巻はクロが姉としてのこれでかという活躍を見せましたが、今度はイリヤがヒーローになってみせました。
自分にとって一番大切なモノ。
それは敵味方関係なくこれまで出会ってきた人々であり、そんなみんなが笑顔で集まっている姿。
あり得たかもしれない日常と言えるでしょう。
そして、それに背を向けるイリヤ。
自分は現代から消えてしまいますが、それでもこの笑顔を現実のものにしたい。
本当は自分もそこに居たいけれども、この笑顔を実現するために。
まるで衛宮士郎のような、自分よりも他人を優先する”正義の味方”の葛藤でしたね。
まあ士郎の場合はどちらかというと狂人寄りですし思考回路がベツモノですが(笑)
そんな士郎みたいな行動を、これまで平和に生きてきたイリヤがやろうとしているからこその葛藤というものが表情から読み取ることができて、大元の作品であるFate/stay nightとのいい対比になっていましたね。
また、みんなとの別れを決心したイリヤの後ろ姿は、物凄く大人びていて彼女の成長も良く感じられました。
絵だけでここまで表現できるのか。
Fateシリーズという積み重ねと、プリズマイリヤという作品の積み重ねの両方が詰め込まれた素晴らしい描写だったと思います!
これだけのために買ってもいいと言えるレベルでしたね!
考察
変えられる『人の心』
過去を変えても意味はない
歴史の復元力によって過去の事象は平均化されてしまうから
だから変えるのならば復元力の及ばない部分
(略)
もしくは…そうだね
人の心とか?
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!! 13
千里眼でイリヤの時間遡行を覗いていたギルの言葉です。
過去を変えても歴史は変わらない。
これがこの世界のルールのようで、例え過去を変えてたとしても世界がその帳尻を合わせ、現代の歴史はほぼ全くと言っていいほど変わらない。
STEINS;GATEで何を変えてもある『結果』が変わらなかったのと一緒ですね。
しかしながら、復元力も世界から隔絶された領域や世界に影響を及ぼさないもの、そして世界の外側と言える魂の座や別次元には手が出せない様子。
そんな手が出せないものの中に、『人の心』があります。
パンドラがどう思っていようが、彼女のこれまでの歩みが歴史通りなら、復元力が働く必要すらないですからね。
だからこそイリヤは過去に飛び、パンドラの心を変えようとしているのでしょう。
実際にイリヤが『妖精』となって過去のパンドラの友達になってからは、現代のパンドラの表情はまるで別人のようでした。
ダリウスも困惑していたくらいですから、イリヤが過去で変えたパンドラの心。
これが過去のダリウスから託された『箱』と共に、パンドラを、ひいては世界を救う鍵になるようですね。
パンドラの心と箱。
この2つがどのような解決策となるのか。
今後も目が離せませんね!
ダリウスを倒す方法
今巻で明らかになったことの一つに、ダリウスの魔術と特性がありました。
どうやらダリウスは箱の中にある別世界に今の世界のバックアップを取り、それを呼び出すことで自身の復元しているようですね。
これが起源弾を受けてもなお生き延びたカラクリのようです。
たとえ本体の魔術回路がズタズタになったとしても、外部に拡張している部分が『匣』の中のバックアップを読み取り復元する。
つまり、ダリウスを倒すにはバックアップを壊すか、バックアップを読み取るための魔術回路を一切残さず消し去る必要があります。
ダリウスの魔術回路(魔力荊棘)は相当広範囲に広がっていますから、現実的なのは前者でしょう。
となれば、バックアップが『匣』の中にある以上、やはりパンドラをどうするか。
世界の命運だけでなく、ダリウスを倒すという点においてもパンドラの匣をどうするかがキーになるのは間違いなさそうですね!
プリヤドライ14巻の発売日
希望を持って楽しみにできるFate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!! 14巻の発売日は2024年6月25日です!
コメント