せっかくのFAカップ優勝に歓喜しているのも束の間。
メディアやSNSではテン・ハグの去就が騒がれています。
1ファンとして色々思うことがあるので、超個人的な意見をつらつらとまとめようと思います。
エリック・テン・ハグ監督の解任報道
イギリスの大手メディアであるザ・ガーディアン紙をはじめ、いくつかのメディアがFAカップの結果に関わらずテン・ハグ監督は解任という記事を出しています。
SNS上でもファンの意見は分かれている状態で、色んな人が色んな意見を持っているのが現状です。
CL出場権を獲得し、カラバオカップを優勝して当然続投!となっていた昨シーズンからガラリと変わりましたね。
昨晩はFAカップ決勝で素晴らしい試合を見せ、ノイジー・ネイバーであるシティを破っての優勝を果たしましたが、やはり話題に上がってしまうテン・ハグの去就問題。
今回は長年ユナイテッドを応援し、気づけばファン人生の半分以上がファーガソン期ではなく、暗黒期になってしまったぶんちりーの考えをつらつらとまとめていこうと思います。
ユナイテッドの話は主観120%になっちゃうから、ブログに書くのは控えてたけど、せっかくブログやってるんだしね。
TL;DR
テン・ハグ解任のProsとCons
以上の事から、個人的にはデメリットの方が大きいと感じているため、来季1年はテン・ハグに任せて良いと思います。
多分他の監督を呼んでも、余程の大当たりじゃない限り、いい結果にはならないと思います。
もちろん来季やってみて今季の課題(特にプランBの構築や基本戦術の修正)が改善されないようであれば、その時は契約満了でしょうが。
昨今はフットボールの進化やメディアの発達もあって、試合内容も重視されがちですが、ユナイテッドに求められるのは内容ではなく結果です。
ファギー時代も酷い試合内容だけどなんか勝てて、なんかタイトルを獲れたシーズンは数えきれないほどあります。
なんか勝てたわ…とはならず普通に負けた試合が多かったですが、FAカップのリヴァプール戦やシティ戦など、ここぞで勝てているので、もう1年チャンスをあげるべきだと思いますね。
というかここで解任したら、ファン・ハールやモウリーニョの時から何も進歩していません。
今シーズンの成績
恐らく解任理由の主要因はこれ。
- リーグ:8位(18勝6分14敗)
- CL:GL4位敗退(1勝1分4敗)
- カラバオカップ:4回戦敗退
- FAカップ:優勝
FAカップで優勝できたものの、リーグとCLは散々な結果に終わっています。
昨シーズンを3位で終え、多くのファンから期待されていたのにも関わらずこの結果ですから、批判されるのは十分理解できます。
感情的には、CLをGL最下位で去った時点で、ブチギレ解任したかったくらいです。感情的には。
テン・ハグの問題
今シーズンのテン・ハグに見られた問題は、プランBのなさ。
ベストメンバーが揃えばいいフットボールをするのは、昨シーズンの試合や昨晩のFAカップ決勝、過去のアヤックスを見るとよく分かります。
しかしながら、現有戦力に合わせて妥協したプランを作ったり、過密日程を戦うターンオーバー用のプランを練るのが上手でないことが、今シーズンは顕著に現れました。
特にリチャとブルーノの居ない状態では、マトモな試合ができないことが露呈したシーズンだったと思います。
ブルーノも離脱してたら本当に終わってたと思う
FFPを遵守しながら過密日程を戦い抜くとしたら、来シーズンも同じ問題に直面するのは確定事項なので、この手腕にクエスチョンがつくのは当然だと思います。
奇跡的に怪我人0だったとしても、来季の現実的なスカッドで、失速せずに1年間戦い抜くのは厳しいと思いますからね。
フロントの問題
一方で、今シーズンの成績はテン・ハグだけが責められるのはアンフェアな側面があります。
選手獲得とメディカルの面で、フロントが大きく足を引っ張ったからです。
選手獲得
今シーズンの主要な補強は、以下の4名。
- アンドレ・オナナ
- メイソン・マウント
- ラスムス・ホイルンド
- ソフィアン・アムラバト
この中で移籍金を除いて、何の不満もなく補強できたのは、オナナくらいでしょう。
マウントはシーズンのほとんどを怪我で離脱し、居ないも同然。
ホイルンドは交渉が長引き、怪我をした状態で加入したためシーズン開幕に間に合わず、フィットするのに苦労。
アムラバトも交渉が長引き、シーズン開幕に間に合わず、フィットするのに苦労。
補強がシーズン前半では全く機能しなかったうえに、後述のメディカル問題が頻発すれば昨シーズンより出来が悪くなるのは当然です。
もっと言えば、テン・ハグ戦術の中核はリチャとブルーノ(とアンカー)であることは昨シーズンから分かっており、ここを満足に補強しなかったのも問題。
リチャの代わりとは言わずも、似たようなシステムが組める左利きCBを獲得しなかったのは大失敗です。
彼の怪我がなかったとしても、プレミアとCLを両立させるためのバックアッパーは必要でしょう。
全滅した左SBのため、急遽レンタルしたのが怪我がちのレギロンなのもギャグかて。
メディカル
元アーセナルと言われているメディカル陣を取ってきたのもフロントの大失態。
リチャ、ヴァラン、ショー、マラシア、マグワイア、リンデロフ、ワン・ビサカ、カゼミロ、メイヌー、マウントといった面々が、かなりの期間を怪我で離脱しています。
特に守備陣は酷く、本職の左SBと左利きCBはシーズンを通してほぼ不在。
もちろん接触プレーで怪我をした選手もいますが、それ以外のトラブルも多くメディカルの実力を疑わずにはいられません。
これだけ怪我人が出れば、どんな監督でも好成績は望めないですよね。
一時代を築いたクロップリヴァプールも、怪我に泣いた昨シーズンは5位。
悲願のCL権を獲得したニューカッスルも、怪我と補強の失敗に泣き今シーズンは7位。
今のプレミアリーグで、満足にスカッドが揃わないチームが上位に入れないのは、テン・ハグに限った話ではありません。
そしてスカッドを揃えるのは、監督ではなくフロントの仕事です。
ラッシュフォードに関する個人的な憶測
最後は結果ではなく憶測。
今シーズンのユナイテッドが苦しんだ理由の1つに、ラッシュフォードの存在があります。
テン・ハグが求める守備の切り替えや前線からのプレスがとにかく酷く、守備面で大きく足を引っ張っていた印象。
更に持ち味の攻撃面でも、昨季とは打って変わって絶不調。
しかしながら、テン・ハグはラッシュフォードと心中するように彼のスタメン起用を辞めませんでした。
個人的には、これもフロントが足を引っ張ったんじゃないかなと思っています。
契約条項に出場試合やスタメンの条項が入っていたんじゃないかな~と想像していますね。
というのも、テン・ハグは、自分のスタイルと合わなければ、あのロナウドですらベンチ送りにする監督。
戦術を崩すだけのインパクトがあったなら昨季ならともかく、今季の出来でベンチ送りにならないのは、監督の判断とは考えにくいです。
ラッシュのスタメンはフロント判断だったとすると、これまた大きく足を引っ張ったと言えるんじゃないでしょうか。
ホイルンド・ガルナチョ・アントニーorブルーノorアマドの3TOPは守備面でいい感じに機能していましたし。
ユナイテッドに求められること
次は別の観点から。
ユナイテッドに求められる事は何か?
シンプルで、勝利とトロフィーです。
スペクタクルなフットボールでも、安定したパフォーマンスでもありません。
内容に関わらず勝つことと、優勝すること、その希望が常にあることです。
栄光に満ちたファギー時代だって、試合内容が悪いのは珍しいことではありませんでした。
でも、なんか勝つしなんか優勝する。
そんな闘志と魂があり、最後のホイッスルまで希望が持てるのがユナイテッドの魅力だったと思います。
オールド・トラフォードに行った時も酷い80分からの大逆転劇だった
テン・ハグはペップシティやクロップリヴァプール、アルテタアーセナル、今季はポステゴスパーズと比べられがちですが、それを言ったらぶっちゃけファギーユナイテッドよりベンゲルアーセナルやペップバルサの方が美しいフットボールをしていましたし、モウリーニョチェルシーの方が戦術が徹底されていました。
サッカー部員のお手本にはベンゲルアーセナルとペップバルサだった
この点に関しては、テン・ハグは合格と落第の両方が混在している状況。
昨季はカラバオカップ、今季はFAカップと、毎年1つはトロフィーを掲げています。
これは素直に素晴らしい。
一方で、プレミアを獲れる見込みはまだまだ薄く、負け試合も多い。
CLもGL最下位で敗退です。
これは前述の通りフロントの問題もあるけど、擁護は難しい。
負けが多いけど、トロフィーも獲れているので求められている事は一部達成みたいな状態です。
ただ、ボロボロの状態でここまでの結果を残せたのは、ファギー以降ではモウリーニョくらいなので、及第点ではないかなと思います。
ピッチ上で見せているプロセス
ピッチ上で見せているプロセスは良い面と悪い面がハッキリしています。
明確な哲学
まずは良い面。
テン・ハグのスタイルは、ファギー退任以降のフロント陣営にはなかった、フットボールの哲学というものがあります。
攻撃では、GKとCBでゲームメイクを行い、トップ下の司令塔をフルに活かす。
守備では、攻撃時に人数を集めた最前線の枚数を活かして、強烈なハイプレスをかける。
攻守ともに超攻撃的な、一貫した哲学を持っています。
18-19シーズンのCLで大旋風を巻き起こしたアヤックスのスタイルを自分の哲学として持っており、それをユナイテッドに植え付けようとしています。
上手くはいっていないですが…
上手くはいっていないですが、哲学を持った監督の下でクラブを再建するのが、重要だったはず。
その点において、テン・ハグは自身の哲学がちゃんとあり、それを植え付けようとしています。
上手くいかない戦術
次は悪い面。
これはテン・ハグの哲学が、ユナイテッドの今のスカッドに合っていないという点。
ブルーノをフルに活かす戦術や、オナナ&リチャでゲームメイクを行うプランはマッチしていて良いと思います。
オナナ&リチャでゲームメイク出来た試合は数えるくらいだけども。
しかしながら、それ以外の部分は問題だらけ。
例えばホイルンド。
ホイルンドはユナイテッドに不在だったザ・センターフォワードで、馬力も決定力もあります。
しかし、テン・ハグのスタイルでは、CFはトップ下を輝かせるための引き立て役。
ゼロトップ的な役割を求められ、得点源ではありません。
ウイングと役割を交換するなど、戦術の修正が出来れば良かったのですが、今シーズンは上手くいかなかったように思えます。
結果的に前線が誰も下がってこないので、ゴール前が大渋滞しているシーンが多く見られました。
例えばビルドアップ。
CB+GKで上手にビルドアップが出来ずブルーノやエリクセンが下りてきたり、SBが器用なタイプではないので外経由でのボール回しが上手くいかなかったり。
シティやアーセナル、リヴァプールといった面々だけでなく、プレミアリーグのほぼ全チームにビルドアップが通用していなかったと思います。
18-19アヤックスとは違い、フレンキーもマズラウィもブリントもデリフトも居ないのだから、哲学を”今のユナイテッドの”戦術に落とし込む工夫は必要だったでしょう。
選手マネジメント
選手マネジメントは賛否両論。
ガルナチョやメイヌー、ホイルンド等の若手を積極的に起用し、カンブワラやディアロ、ペリストリ、ハンニバルも出番を与えられました。
強いユナイテッドは若手のブレイクが絶えずあったので、この点は賞賛されるべきだと思います。
一方でサンチョやラッシュフォードの問題。
サンチョは和解できずドルトムントにレンタルで放出。
ラッシュフォードも不貞腐れた態度が目立ちました。
特にサンチョはドルトムントがCL決勝まで進んだ事もあり、一部からは批判されています。
しかしながら、ユナイテッドにはクラブと監督より上の存在はいないはず。
大スターだったベッカムさえ、ファギーに逆らった際には即刻退団しています。
モウリーニョよりポグバを優先した時がおかしかっただけで、ユナイテッドの監督として規律を優先した点はむしろ賞賛されるべきだと思いますね。
モウリーニョを裏切ったフロントには未だに失望している
問題が起きないのがベストですが、問題を起こした奴に甘い顔をするような監督でないだけ及第点だと思います。
規律を守り、若手を積極的に起用してくれるという点では、ユナイテッドにマッチした監督ではないでしょうか?
後任監督と予算
最後は消極的な観点。
テン・ハグを解任するのはいいけど、その後どうすんの?という話です。
テン・ハグの違約金は1000万ポンドと言われており、安くはない額。
更に後任候補はトゥヘル、ポチェッティーノ、マッケンナが有力視されている状況。
1000万ポンド+契約金を支払ってまで、その3人を後任に据えるのか?と言われると正直微妙です。
トゥヘルは素晴らしい監督ですが、長期政権を築きたいんじゃないの?とフロントに聞きたい気分。
ポチェッティーノはテン・ハグ路線から大きく脱線するので、また0から作り直し。何回やるねんそれ。
マッケンナはイプスウィッチでの手腕は素晴らしいですが、ハイリスク過ぎるように思えます。
アンチェロッティやシャビ・アロンソが来てくれるならともかく、今の有力候補ではリスクにリターンが見合っていないように感じますね。
だったらそのお金でテン・ハグ戦術に必要な選手、未来のユナイテッドに必要な補強すれば?と思います。
しかも今年はEUROがある都合上、チーム作りはちょっと難しいですし。
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