オリバーとナナオに加え、怪しい雰囲気を放つ転校生・ユーリィが表紙を飾るななつま6巻!
学生統括選挙に教師殺しの犯人捜し、そしてとある魔女の最速への挑戦。
小休止的な一巻と見せかけて、内容盛りだくさんでした!
※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!
ななつま6巻のストーリー
- 前巻で仇敵・エンリコ=フェルギエーリへの復讐を果たしたオリバー=ホーンは、大きなダメージを負う。結果として、11人の犠牲に加えて、オリバー自身も魔法と剣術が上手く扱えなくなってしまうもこれを乗り越える。
- キンバリー魔法学校は、教師殺しの犯人捜しに本腰を入れる。
- 同時進行で学生統括選挙が始まり、現統括・アルヴィン=ゴッドフレイの後継争いも勃発。
- 一方ナナオ=ヒビヤは、部活動の箒競技で圧巻のパフォーマンスを見せるも、上級生のトップ選手・ダイアナ=アシュベリーから洗礼を受ける。
- アシュベリーの元キャッチャーであったクリフトン=モーガンの登場によりアシュベリーは最速を更新するが、モーガンが魔に呑まれる。
- アシュベリーはそのままモーガンのもとに突っ込み、一緒に燃え尽きる。
感想
色々あったんだけどアシュベリー先輩が全部持って行った!!!
これに関して後述します!
その他にも、転校生に統括選挙や犯人捜し、オリバーの苦悩など本当に盛りだくさんでしたね!
かなり伏線が張り巡らされてるんじゃないかなあ~と感じる一巻に仕上がってました!
天鏡のアルデラミンが大好きなのもあって、宇野先生への信頼感があるのもあるでしょうが(笑)
これまでは同級生に一目置かれるだけでしたが、オリバーもどんどん動きづらくなっている気がしますね。
オリバーの意思に関係なく、ミリガン先輩絡みで統括選挙には巻き込まれていくでしょうし、犯人捜しも捜査線上には上がってしまっています。
おまけに怪しい転校生までやってきて、本筋は土台がキッチリ作られた印象です!
ジェットコースターが最初にてっぺんまで登っていくような、今後の勢いを期待しちゃう土台造りでした!
最速と書いてアシュベリーと読む
ななつま6巻はダイアナ=アシュベリーの物語でした。
そう言っても過言でないくらい、アシュベリーという魔法使いの生き様が描かれていましたね!
箒で最速を出すためにデザインされて産まれたアシュベリー。
そんな彼女の身体は、限界まで他の能力が削ぎ落されていて、子供も産めない身体だそうです。
これまでも描かれてきましたが、この世界の魔法使いって中々に業が深いですよね…
こういった暗さが、ななつまのダークファンタジーとしての魅力を引き出しているんですけども。
話は戻ってアシュベリー。
彼女は、そういった産まれですから、文字通り「命懸け」で箒競技に取り組みます。
彼女が目指す最速は、あまりのスピードに命の危険を伴うそうですからね。
これまで描かれてきた箒競技は、ナナオが楽しそうに取り組む平和の象徴でした。
そんな箒競技も、見方を変えれば魔法使いの業と情熱を感じられる、平和とは対極にあるものです。
命を燃やして最速を達成したアシュベリーとモーガンの最後は、まさに花火のような儚さを感じられましたね。
他人から見ればエンターテインメントでも、当事者は自分の全てを懸けている。
現実でもあるテーマを、魔法の世界で描いているのが個人的にとても刺さりました。
ハリーポッターと決定的に異なる部分
ななつまは良くハリーポッターと比べられます。
これは、キンバリー魔法学校などの設定がとても似通っているからでしょう。
僕は、作者自身も「児童文学じゃないハリーポッター」と言っていますし、それ自体は何も問題ないと考えています。
そして、七つの魔剣が支配する≠ハリーポッターという事も、多くの人に分かって欲しいと考えています。
そんな中で、今巻はななつまは一つのオリジナリティ溢れる特徴が出ました。
この作品って、各キャラを丁寧に描写しているのが大きな魅力です。
心情や生き様を丁寧に描いているので、各キャラがキンバリーで「生きている」んですよね。
今巻スポットが当たったのは、ダイアナ=アシュベリーというサブキャラです。
にも関わらず、大きな業のもと産まれ、魔法に全てを捧げた生き様が読み手に伝わってきます。
各キャラの生い立ちや心情の掘り下げは、ハリーポッターにはないものです。
ハリーポッターは各学年で1巻ですから、比べるのは違うと思いますけどね(笑)
そういう意味では、改めてあの作品がどれだけ贅沢で豪華な舞台設定を持っているのかが良くわかります。
そりゃあ世界的ベストセラーになるわ
ただ、ハリーポッターが使い切らなかった素材を別種のダークファンタジーとして調理しているこの作品は、魅力が詰まっているので多くの方に手に取って欲しいですね!
考察
伏線はとても多く張られていそうな気がしましたが、今回は次の2つについて見ていきます!
特に、表紙にもなっている転校生・ユーリィは気になって仕方ないですからね!
オリバーとナナオ達
まずは、前巻のvsエンリコで「大きな代償」を払ったオリバーです。
魔剣と呼ばれる壮絶な剣技を扱う母・クロエ=ハルフォードの技を身に宿すのは、やはり大きな無理があったようです。
今巻では、オリバーがその無理に対する代償を払います。
オリバーの身体にクロエの魂を宿し一体化しているため、身体が魂に引っ張られて変わってしまったようですね。
これが原因で、オリバーは自身の身体を上手に扱えなくなり苦しみます。
そして、エスメラルダの尋問の件もあり、限界が来たオリバーは仲間の前で泣き崩れてしまいます。
そんなオリバーを、ナナオ、ピート、カティ=アールト、ガイ=グリーンウッド、ミシェーラ=マクファーレンといった「表」側の仲間たちが励まし立ち直らせるのはグッときました!
ナナオの提案で鬼ごっごをして新しい身体の使い方を学んだオリバーが立ち直ったのも、大きな象徴だと思います。
オリバー自身は、「裏」の顔である復讐者としての使命が最優先のはずですが、そんな彼にとって「表」側のナナオ達はあまりにも大きな存在になっていますね。
これまでは精神的な面で支えられてきましたが、今巻では技術的(肉体的)なサポートまで受けたわけですから。
いつか教師殺しの犯人がオリバーだと発覚した時や「表」と「裏」を天秤にかけるような選択を迫られた時に、オリバーは冷徹な復讐者のままではいられないでしょうね。
やはりここが、この作品の大きなテーマの一つであり、見せ場になるんじゃないかなと予想してます。
怪しい転校生・ユーリィ=レイク
そして、やっぱり気になってしまうのが今巻で登場した新キャラ。
転校生・ユーリィ=レイク。
魔法学校からの転校生ではなく、普通の学校からの転校生という彼。
そんな彼は、オリバーやナナオに強い関心を示しています。
そして、転校早々キンバリーの危険スポットである地下迷宮の探検も行っています。
今巻ではほとんどスポットが当たりませんでしたが、エピローグで衝撃の事実が明かされます。
なんと彼は、キンバリーの教師・デメトリオ=アリステイディスの分身であり使い魔でした!
魂を別ける術による、分魂と呼ばれるものだそうです。
魂を『知』の側面と『無知』の側面に分けて扱う
七つの魔剣が支配するVI
とんでもない使い魔のカタチですね。
この、『知』と『無知』という分け方がミソなんでしょう。
純粋な好奇心で対象を調べてくれるわけですから、邪念のようなものがなく、オリバーも教師陣の臭いを察知できないかもしれません。
彼が、デメトリオが用意した分身だという事が明かされた以上、今後の展開で重要な役割を果たすのは間違いないですね。
案外、オリバーの素性が明かされる日はすぐそこまで迫っているのかもしれません。
ただ、デメトリオの目的はユーリィにスパイ行為をさせることではなく、『無知』ゆえの着眼点からキンバリーの謎を解き明かすことだそうです。
なので、必ずしもオリバーの不利益になる訳ではないというのが気になりますね。
いずれにせよ、
無垢なる瞳の探求者。即ち―探偵である。
七つの魔剣が支配するVI
と評されたユーリィの今後の行動からは、目が離せません!
ななつま7巻の発売日
選挙戦の続きが描かれる、七つの魔剣が支配するVII の発売日は2021年6月10日です!
宇野先生も元気になられたそうで、いよいよ続きが読めるのが楽しみで仕方ないですね!
そんな読み応え抜群のななつま7巻の記事はコチラです!
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