今年も気づけばあっという間に時間が過ぎ、年間で100冊ちょっとの本と出会うことができました。
メインジャンルはミステリ、時代小説、ファンタジー、ライトノベル、サスペンスと、かなり雑食で楽しんでいます。
まだ11月ですが、今年も100冊読めて一区切りついたので、2025年に読んだ中で、「これは面白かった!」「人生の豊かさが増した!」と感じた10冊を、愛を込めてご紹介したいと思います!
ぜひ読書リストに追加してみてくださいね!
イクサガミ
明治11年、莫大な賞金につられて京都の天龍寺に集められた292名の強者たち。彼らに課されたのは、木札を奪い合いながら東海道を辿って東京を目指すという、命がけの「遊び(ゲーム)」でした。妻子を救うため、元剣客の主人公・嵯峨愁二郎は、12歳の少女と共に過酷な旅路を進みます。
いや〜、今年のナンバーワンは文句なしでこれ!
SNSでも「熱すぎる」「一気読み必至」と評判ですが、僕も完全に同意です。
最初から最後まで、とにかく手に汗握る限界の応酬が続きます。
それぞれの登場人物の背景にある参加理由が深く、ただのデスゲームではない、人間の泥臭いドラマがあるのが最高でした。
るろうに剣心的な、熱いバトルと生き様が好きなら絶対にハマるはず!
特に、3巻のラストはアドレナリンが出まくりで、今年ナンバーワンの読書体験でしたね。
読み終えた後、ラストの4巻の発売日を今か今かと待ち遠しく感じていたんですよ。
そして満を持して読んだ4巻も、期待を裏切らない素晴らしい結末。
最初から最後まで、作者の熱量が伝わってくるような、文句なしの傑作エンターテイメントでした。
Netflixでのドラマ化もあり、そちらも楽しみすぎます!
天下の値段 享保のデリバティブ
時は江戸時代、天下の台所・大坂堂島。ここでは全国から集まる米を題材に、先々の米価を扱う先物取引(デリバティブ)が盛んに行われていました。市場の自治を守ろうとする大坂商人たちと、米価の変動を抑えようと市場支配を目論む将軍吉宗率いる江戸幕府が、究極の頭脳戦を繰り広げます。
一見堅苦しい題名ですが、これが本当に面白い!時代小説でありながら、現代の金融取引にも通じる「経済エンタメ」的な要素が満載の作品です。
これはね、「狼と香辛料」の江戸時代版!って思えば、ぐっと読みやすくなるはず。
米を題材に、当時の先物取引や経済の仕組みがとんでもなく面白く描かれています。
「人の欲はそれを制御できるのか」なんて感想も見かけましたが、まさにその通りで、江戸時代だって関係なく、現代の金融取引に通じる熱い駆け引きが展開されるのがすごい。
将軍吉宗を筆頭にした幕府と、天下の台所・大坂商人たちの知恵比べは読んでいてワクワクが止まりません!
時代小説としての読み応えはもちろん、商売や経済をテーマにした物語としても超一級品。
僕も米価の変動図を見ながら、商人たちが一喜一憂する様子に「マジかよ!」って声を上げそうになりました。
複雑なテーマを、愉快で面白く読めるように仕上げた作者さんの手腕に脱帽です!
フェイク・マッスル
人気アイドルグループに所属する大峰蒼太は、突然ボディビル大会への参加を表明。わずか3ヶ月のトレーニングで驚異的な成績を収め、その後開いたジムも大盛況となります。しかし、その急激な肉体改造に対し、「ドーピング疑惑」が持ち上がり、週刊誌の記者である主人公がジムへの潜入捜査を開始します。
この作品は、ミステリーのお話づくりとしてセンスが光っています!
トレーニングという特殊な世界とミステリーが融合した独特な作品で、ニッチな題材なのにすごく読みやすいんですよね。
主人公の記者が、潜入取材と並行して筋トレにハマっていく様子が微笑ましくて、彼の成長を応援しながら読めました。
トリックや仕掛けが奇抜すぎず、納得のいく真相が用意されているところも、バランスが優れていると感じました。
特に、終盤のハラハラドキドキの展開は読む手が止まらず、一気読みでしたね!
ユーモアミステリーという感想も見かけましたが、まさにその通り。
肩肘張らずに楽しめて、筋トレの知識まで学べる、爽やかな読後感の傑作です!
ファラオの密室
舞台は古代エジプト。主人公セティが不慮の死を遂げ、冥界で真実を司る神・マアトに出会います。セティは3日の期限を与えられ、自分が死んだ事件を捜査するために蘇ります。古代エジプトの世界観で、死者が自分を殺した犯人を捜すため、密室殺人事件の謎に挑むことになります。
古代エジプトが舞台というだけで惹かれますよね!
しかも、ミイラが蘇って謎を解くという、設定の斬新さが光るミステリです。
まず設定が最高に面白いです!蘇ったミイラが主人公で、しかも時間に猶予がないという緊迫感。
古代エジプトの文化や雰囲気が丁寧に描かれていて、歴史好きにはたまらない要素が満載でした。
ミステリとしても論理的で、セティが心臓を探しながら真相に迫る展開は、最後まで手に汗握るサスペンス。
神話や文明を生かした謎解きは、僕のメインジャンルであるミステリ、時代小説、ファンタジーの要素が絶妙に融合していて大満足!
異世界感と清々しい読後感が魅力の一冊でした。
「真実とは心のありよう、自分自身をいつわらないこと」という作中の言葉も心に響きましたね。
僕がブログで感想を書いているロード・エルメロイII世シリーズが好きな人は、確実にハマれると思います!
誰が勇者を殺したか
魔王が倒され、世界に平穏が訪れてから4年後。国中が悲しみに暮れる中、亡き勇者の偉業を文献にまとめる事業が立ち上がります。資料集めのため、かつての勇者パーティーの仲間たちが集められますが、その過程で、彼らの知る「勇者の真の姿」と「死の真相」が、徐々に明らかになっていきます。
「誰が勇者を殺したか」という挑発的なタイトルに惹かれて手に取った、ライトノベルとしても、ファンタジー・ミステリとしても素晴らしい作品です。
一人称が次々と入れ替わり、複数の視点から物語が進む構成が素晴らしく、それぞれの登場人物の行動や思惑が深く掘り下げられています。
伏線回収の心地よさも抜群で、読んでいてワクワクが止まらなかった!
SNSでも「紡がれる言葉が一つ一つ胸に刺さってくる」「完成度が高い」と絶賛されていました。
物語の根底には、勇者の苦悩や重いテーマが流れていますが、読後には虚しさと優しさに包まれるような、温かい気持ちにもなれました。
タイトルの意味が、物語を最後まで読み終えたときにじんわりと沁みてくるんですよね。
ファンタジー好きだけでなく、ミステリ好きにもぜひ読んでほしい、傑作です!
ストーンサークルの殺人
イギリス・カンブリア州のストーンサークルで、次々と猟奇的に損壊された焼死体が発見されます。犯人はマスコミに「イモレーション・マン」と名付けられ、世間を震撼させます。3番目の被害者には、不祥事を起こして停職中のNCA(国家犯罪対策庁)の警察官であり、主人公・ワシントン・ポーの名前と「5」の数字が刻み付けられていました。
海外ミステリなうえに、本の厚さに一瞬たじろぎましたが、読み始めたら不安がぶっ飛び、夢中で読んでしまいました!
主人公・ポーと部下・ティリーのコンビが本当に最高で、「直感と執念のポー」と「テクノロジーと数学のティリー」という、お互いに足りない部分を補い合う関係がたまりません。
キャラクターの個性が際立っており、シリーズモノなので続きも読みたいな!と思えました!
今度、Kindleのまとめ買いキャンペーンで買っちゃおうと思っています。
事件自体は、過去の凄惨な出来事が根底にあるため、読んでいて苦しい場面もありますが、その悲惨な描写も第三者の視点で淡々と描かれているため、読みやすさが保たれていました。
単なる犯人当てにとどまらない、この作品のテーマ性の深さには脱帽です。
なぜポーの名前が刻まれたのか?に対するアンサーもおぉ~と納得して楽しめました。
引っ越し大名三千里
書庫に引きこもる「かたつむり」と呼ばれる主人公が、突然「引っ越し大名」に任命されます。藩ごと別の土地に移る「国替え」は、当時の大名家にとって莫大な費用と労力がかかる大仕事。主人公は、この史上稀に見る困難な大事業を、いかにして乗り切ろうとするのか。その奔走と奮闘を描いた時代コメディ小説です。
これはもう、痛快泣き笑い時代劇という言葉がぴったりです!
「超高速!参勤交代」シリーズの作者さんだけあって、エンタメ度が抜群に高い。
藩ごと移動という莫大な費用と手間がかかる「国替え」という大仕事を、「普段は要らない子扱いの武士」が解決していくお仕事小説的な側面が面白いんです。
主人公が、しがらみに囚われず改革を推し進める様子は、読んでいて爽快!
物語を楽しみながら、そんな時代もあったのだと感心させられます。
無駄なものを捨て、一致団結して難題に挑む姿は、現代の終活や断捨離にも通じるものを感じましたね。
一次元の挿し木
200年前の人骨のDNAが、4年前に失踪した妹のものと一致。このあり得ない事態の真相を追う主人公は、やがて殺害や窃盗といった大きな事件に足を踏み入れていきます。過去と現在、そして不可解な現象が複雑に絡み合い、予測不可能な展開で読者を翻弄する、新感覚のミステリです。
SF、ミステリ、ホラー、ファンタジーの要素が混在する、とても不思議でユニークな作品。あらすじの時点で引き込まれました。
200年前の骨と失踪した妹のDNAが一致なんて、掴みだけでゾクゾクしますよね。

あらすじのパンチ力エグすぎ
ミステリーのようなホラーのような、とにかく不思議な作品で、読み進めてもなかなか謎が明かされないのが逆に楽しかったです。
混乱せずにスルスルと読める構成も良かったです。
バラバラだった謎が最後の最後に一つにまとまるときの恐怖感と臨場感は凄まじかったですね。
そう来たか~的な終わり方も含め、満腹になる物語でした。
儚い羊たちの祝宴
会員制読書サークル「バベルの会」に集うのは、一癖も二癖もある選ばれた若者たち。彼らが持ち寄る奇妙な物語や、日常の中で起こる不可解な出来事が、やがて恐ろしくも美しい事件へと繋がっていきます。収録された短編全てが、人間の深層心理に潜む暗闇と、それを彩るような優雅な狂気を描いた、連作短編集です。
この作品は、後味の悪さが癖になるという感想に集約されていると思います。
イヤミスが好きな皆さま歓喜の一冊。
上流階級の過剰に丁寧な語り口調が、逆に薄気味悪さを増幅させているんですよね。
終始ダークな雰囲気が漂っていますが、「バベルの会」というワードで繋がる世界観が、読者を強く引きつけます。
特に「玉野五十鈴の誉れ」や「山荘秘聞」など、各話のオチが「そんな理由で!?」と呆気に取られつつも、登場人物の強固な思想や狂気から見れば道理に適っている、という点がゾッとします。
そしてゾッとするのが、イイ…
倫理観をどこかに捨てて、凄惨な死が物語の飾り物と化すダークさをたっぷり楽しむのがオススメです。
ミステリとしてはフェアで綺麗にまとまっているのに、読後感は最悪に近いという、このギャップがたまりません!
満願と並んで、米澤先生のイヤミスの中ではかなりのツボでした!
サーキット・スイッチャー
完全自動運転が普及した近未来の日本を舞台に、自動運転AIの開発者を拉致した誘拐犯のメッセージと謎を追う。「トロッコ問題」を主たるテーマに、AI時代の倫理と人間の正義が問われる。
面白すぎる!AIと自動運転、そしてトロッコ問題というテーマは、まさに現代のSFというより社会派ミステリー。
エンジニアの作者さんだからこそ描ける、ロジカルで納得感のあるギミックが本当に素晴らしかった。
「正解はないけど最適解を決めないといけない残酷さ」と言わんばかりの、倫理と理論の狭間で揺れ動くテーマが僕たち読者にも重くのしかかります。
犯人の主張が、倫理的には間違っているけれど、理論的には反論が思い浮かばないという点がやるせないんですよね。
テンポよく、無駄のない文章でサクサク読めるので、技術的な知識がなくても楽しめます。
近いうちに現実の問題となりそうな話で、リアリティを感じながら読める、大満足の一冊でした。
















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