最終章開幕!
これまで数々の謎と伏線を張り巡らせてきた『スパイ教室』ですが、この13巻はまさに物語の核心に触れる、とんでもない一冊でした!
※ここから先は【ネタバレ】全開です!!!
スパイ教室13巻のストーリー
- ライラット王国での革命を成功させ、『暁闇計画』の内容を引き出す権利を得た『灯』は、『焔』の歴史と『暁闇計画』の全貌を知る。
- 真相を知り、賛同したフェロニカと、反対したギードの、それぞれの意図を理解した『灯』は、『暁闇計画』の成就と阻止のどちらかを選ぶよう迫られる。
- 満場一致で成就を選んだ『灯』はチーム解散の危機を逃れるが、クラウスは阻止を選択し、『蛇』の新たなボスとなる…
感想
クラウス、離反!!!
いや~~~マジか。
最強はクラウスというのは、ずっと示されてきたことでしたが、見事に最強が敵に回る魔王ルート。
『暁闇計画』の阻止を目指す『蛇』のボス・クラウスと、計画成就のために戦う『灯』の少女たち。
この構図が明確になったことで、最終決戦感もすごいですし、まさに最終章!といった展開で今からワクワクしてきます。
『焔』崩壊の真実
13巻でついに語られたのは、『焔』崩壊の真実です。
これまでの巻で断片的に語られてきた過去の出来事が、この巻で一気に繋がっていく感覚は、まさに圧巻の一言。
点と点が線になり、線が面となって、これまで見えていなかった巨大な陰謀や悲劇の輪郭がはっきりと見えてきました。
特に、世界大戦によって情を失っていたフェロニカが、目的遂行のために作り上げた『焔』という組織での「家族愛」が次第に本物になっていくストーリーは、ジーンときましたね。
その本物の愛が、クラウスの生存、ひいては『灯』の発足、そして今回明らかになった『暁闇計画』の全貌にまで至る連鎖反応は、ストーリー性を感じさせるいいスパイスでした。
フェロニカやギードといった登場人物たちの過去と、彼らが下した決断が、いかに現在に繋がっているのかが明かされたことで、物語全体の重みが格段に増したように感じます。
彼らがスパイとして作り上げた「家族愛」に雁字櫪々になってしまい、対立しつつも思い合っている人間らしい弱さが描かれていて、涙腺にきましたね。
ラストのクラウスがデカすぎたのでタイトルと表紙はクラウスが相応しい一冊ですが、フェロニカやギードも表紙を飾れる内容だったと思います!
遂に明かされた『暁闇計画』の全貌
長らく謎に包まれていた『暁闇計画』の全貌が、この巻でついに明らかになりました。
第一次世界大戦の後に、冷戦のようなスパイ戦と核開発競争が起きた場合の「IFストーリー」のようになっていて、個人的にはかなりツボでした。
核の抑止力をどう扱うか、どう捉えるかというテーマは、私たち現実世界にも存在する非常に重いテーマであり、フィクションの物語としてそれを巧みに取り入れている点がいいですね。
そして、その究極的な抑止力となるはずの計画が、結局のところ「管理者の問題」が発生するという阻止側の結論に至ったのは、非常に納得感がありました。
完璧なシステムを構築しても、それを運用する人間側の問題がつきまとうという視点は、現代の世界情勢を鑑みても、まさに痛烈な皮肉にもなっていると感じます。
ここからどうやって、私たちの世界とは違う道に進むのかが楽しみですね。
考察
クラウスの思惑は?
今巻の最大の焦点は、やはりクラウスでしょう。
何と言っても、この巻でついに『灯』からのクラウスの離反が描かれました。
これまでもクラウスは、凄腕のスパイである一方で、口下手で教え下手な「ポンコツ」な一面を持ち、そのギャップが魅力の一つでした。
しかし、ここでそんな彼は敵となります。
気になるのは、クラウスが『灯』の面々が『暁闇計画』の成就を選ぶよう誘導していた一方で、彼自身は『暁闇計画』の阻止を選択したという矛盾した行動です。
なぜクラウスは、自身とは異なる選択に『灯』のメンバーを誘導したのか。
考えられる可能性は複数あります。
一つは、『暁闇計画』にクラウスしか気づかなかった側面が存在し、その危険性を排除するため。
クラウスだけが気がついた何かが『暁闇計画』にあるからこそ、クラウス率いる『蛇』と『灯』が対立する構図を作り出す必要があったのかもしれません。
もう一つは、過去にフェロニカがクラウスを育て上げ、最終的に自分にはできない決断を彼に託したように、クラウスが『灯』を育て、彼自身では下せない決断を彼女たちに委ねようとしている可能性です。
こちらの場合、スパイ教室というタイトル回収の展開になるのでなかなかアツいですね。
どちらが彼の真意なのか、それとも全く別の理由があるのか、今後の展開から目が離せませんね
スパイ教室14巻の発売日
スパイ教室14巻の発売日は未定です!
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