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Farthest Frontier レビュー|今から買っても遅くない?Steam正式版1.0の評価は?

ゲームレビュー
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2025年10月18日。

この日は、僕たちシティビルダー愛好家にとって、カレンダーに赤い丸をつけて待ち望んでいた記念すべき日となりました。

名作ハクスラ『Grim Dawn』で知られるCrate Entertainmentが、心血を組んで作り上げてきたサバイバル系都市建設シミュレーション『Farthest Frontier』が、ついに正式リリース(Version 1.0)を迎えたのです。

今回は早期アクセス版からチョコチョコプレイしてきた筆者が、プレイした感想をまとめていきます!

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購入したバージョンとプレイ環境

  • プラットフォーム:Steam(PC)
  • バージョン:通常版(早期アクセス版から継続)
  • PCスペック:RTX3070・Ryzen 7 7700・メモリ32GB・SSD搭載
  • 操作方法:マウス&キーボード
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一言で感想を述べるなら

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正当派&硬派シティビルダーの良ゲー

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良かった点

圧倒的な農業シミュレーションの深さ

本作を語る上で、農業を外すことはできません。

他のゲームであれば「畑を作って種をまく」だけで終わる工程が、本作では科学です。

なぜなら、クロップ・ローテーションが求められるシステムだから。

土壌の肥沃度、清潔度、そして粘土質や砂質のバランスを考慮し、3年単位で何を植えるか計画する必要があります。

クローバーで土を肥やし、手入れをして雑草を減らして畑を育てる。

かといって、畑を育てるだけでは腹は膨れない。

根菜や豆、穀物をバランス良く育てて病気を回避する。

更に、猛暑による干ばつ、早すぎる霜、そして作物を襲う多様な疫病。

これらを予測し、複数の畑でリスクを分散させる管理能力が問われます。

この「生きた土壌」を感じられる手触りこそが本作の背骨であり、街が発展してもずっと楽しめるポイントです。

物流と疾病、住み心地のリアリティ

住民一人ひとりが物理的にアイテムを運び、家で食事をし、排泄物を処理する。

この一連の流れが滞ると、瞬く間に「赤痢」や「コレラ」が蔓延します。

1.0ではUIが洗練されたことで、どの家が不衛生なのか、どの物流ルートがボトルネックになっているのかがより可視化されました。

家を衛生に保ち、食料や衣服、贅沢品を十分に用意し、家のアップグレードを目指す。

その一方で、物流ルートを最適化し、住民の労働時間を増やす。

それぞれの最適解は異なるので、どうバランスを取るか?を考えつつ都市計画と開拓を進めるのは非常にやりがいがあります。

時には物流の効率が悪くなっても、住宅エリアに公園を造るなどして快適度を上げる必要があるのが、また楽しい。

Ver 1.0から更に良くなった点

技術ツリー導入による固定ティアからの脱却

EA版では、街の発展は「中心施設(タウンセンター)」のレベルを上げることで、一律に新しい施設がアンロックされる階層制(ティア制)でした。

1.0ではこれに加え、RPGのような巨大な技術ツリーが導入され、ブレンドされました。

これにより、「まずは農業を捨てて、交易と鍛冶で稼いで生きていく」、「まずは食糧生産に特化して人口を増やす」という特徴ある街づくりが可能になりました。

次のプレイでは別のルートを試したい、と思わせるフックが生まれたのは、EA版にはなかった大きな進化です。

エンドゲームへの回答

EA版の最大の弱点は街が完成した後の目的喪失でした。

1.0で追加されたモニュメントは、その解決策です。

天文学的な量の資源と、労働力を投入して建設する巨大建造物。

これは単なる飾りではなく、完成すれば、いわゆる勝利条件達成に相当します。

Tier 4へのアップグレードまで到達した後の、「で、どうする?」に対する、アンサーが提示されたのは嬉しいことだと思います。

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統治者としての「苦渋の選択」

新しく導入された「政策」システムは、都市運営にトレードオフの概念を持ち込みました。

例えば「食料配給の制限」を行えば、食料消費を抑えられますが、住民の幸福度は下がります。

「集約的飼育」を敷けば食料の生産量は増しますが、家畜の健康度が下がります。

これは、ただ施設を建てるだけのゲームから、「政治的な判断を下す統治者」としてのロールプレイを可能にしました。

悪かった点

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都市が発展するほどに直面する「待ちの時間」という壁

プレイ時間が長くなるにつれ、避けて通れない深刻な課題もあります。

それが、停滞するテンポの問題です。

本来、自分の築いた都市が活動する様子をゆったり眺めるのは、このジャンルの醍醐味です。

住民が薪を運び、子供たちが学び、牛が牧草地を歩く……。

その光景には確かな癒やしがあります。

しかし、Farthest Frontierにおいては、その「眺める時間」が、時に「何もできない、ただ待つだけの時間」に変質してしまう瞬間があるのです。

特にこの傾向が顕著なのが、中盤の大きな山場であるTier 2からTier 3への移行期です。

Tier 3へのアップグレードには、一定以上の人口と特定の住宅レベルが要求されます。

しかし、作物の入れ替え設定や、作業者の最適な振り分けを一度終えてしまうと、プレイヤーに残されたアクションは、ただ人口が増えるのを、画面を眺めながら待つだけの状態になりがちです。

倉庫には資材が積み上がり、インフラも整っている。

なのに、人口という数字が条件を満たさないために次の技術や施設にアクセスできない……。

この待ちの時間は、ストラテジーゲームとしての熱量を奪う要因になっています。

もちろん、その間に街の美化に励んだり、来るべき襲撃に備えて壁を強化したりすることもできますが、根本的な「進行」が止まっている感覚は、効率を重視するプレイヤーほどストレスに感じてしまうポイントです。

煩雑化とUIの不整合

技術ツリーやポリシーも追加され更に奥行きが増した本作ですが、どこに何があるのか直感的に分かりにくいという課題は更に問題になっていると思います。

また、上位の施設を建設するまでのフローがかなり煩雑になり、EA時代はタウンセンターのアップグレードだけでサクサク進めたのに対し、研究時間を待つ必要が出たことで「プレイのテンポが落ちた」と感じることもあります。

技術ツリーが後付けなのもあり、「なぜこの生産施設を建てるために、無関係に見えるこの技術を先に研究しなければならないのか?」といった、スキルの接続順序に疑問を感じることもしばしばあります。

僕個人の意見としては、「野心は素晴らしいが、細部の調整がまだ追いついていない」というのが正直なところです。

ここら辺は、更なるアップデートに期待です。

総評

良かった点、悪かった点をまとめるとこんな感じ。

  • 農業の作り込み
  • 物流や疫病、住み心地のリアリティ
  • 技術ツリーとティア制のブレンド
  • エンドゲームへの回答
  • 待ちが発生するテンポの停滞
  • 煩雑なシステムに追い付いていないUI

値段も加味すると、10点満点中9点となり、個人的には時間を忘れて没頭する日が何日もあった良ゲーでした!

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